漁業者所得、6割実態と合わず=水産庁にマニュアル改訂求める―漁船費用助成事業で・検査院
漁協組合などが漁業者に貸し出す漁船の費用を水産庁が助成する事業について会計検査院が調べたところ、事業実績として報告する漁業所得が実態と一致していない個人漁業者が約6割に上ることが29日、分かった。検査院は、水産庁に事業マニュアルの改訂などを求めた。
事業の運営は、NPO法人「水産業・漁村活性化推進機構」が担当。漁業者は漁船を借りてから5年間の漁業所得を同機構に報告し、5年後までに10%の所得向上が見込めない場合は地元の専門家らから改善策の提言を受ける必要がある。
検査院が北海道、愛知、福岡など17道府県での事業を調べたところ、2021年度までの6年間に漁船を貸し出した漁業者725人のうち、約6割に当たる459人が漁業以外の収支を漁業所得に含めるなどしていた。
水産庁が同機構を通じて漁協などに通知したマニュアルでは、漁業所得として扱うべきではない項目を具体的に明記しておらず、検査院は成果が不十分な漁業者が適切な指導を受けられていないと指摘。同庁に対し、マニュアルの改訂や同機構への指導監督を行うよう求めた。
水産庁の担当者は「機構に対して指導などを行い、事業が適切に実施されるよう努めていく」としている。
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