ロシア軍がチャソフヤル侵入=高台の陣地、ウクライナ危機感
ウクライナ軍は、北東部ハリコフ州でロシアの新たな地上侵攻への対応を余儀なくされ、防衛が手薄になった他の前線で劣勢に陥っている。東部ドネツク州の高台に陣地が築かれた町チャソフヤル東端では「(ロシア部隊が)侵入した」(独立系監視団体)もようで、危機感は強い。
「占領者(ロシア)の意図は明らかだ」。ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、軍との会議後にSNSに投稿。離れた前線で「両面作戦」を強いられていると認めた。
チャソフヤルは、昨年5月に陥落した要衝バフムトの西方に位置。この高台を失えば、西に広がるクラマトルスクなど各都市が猛攻にさらされ、ロシアがドネツク州全域を占領するシナリオが現実味を帯びる。ウクライナ側には「陥落は時間の問題」(国防省高官)という悲観論もある。
ロシア国防省は22、23両日、チャソフヤル南東の2集落を掌握したと発表。高台の陣地に正面から侵入するだけでなく、包囲を進めてウクライナ軍を消耗させる作戦とみられる。
一方、ロシアは「緩衝地帯」と称してハリコフ州の国境の集落を次々と占領。州都ハリコフ市を制圧する計画は「現時点ではない」(プーチン大統領)と主張するが、同市では23日にミサイルが集中的に撃ち込まれ、7人が死亡した。
米政治専門紙ポリティコによると、ゼレンスキー氏は6月6日の第2次大戦のノルマンディー上陸作戦開始80年に合わせてフランスを訪れる計画。6月13~15日のイタリアでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)にも足を運び、ロシア軍の猛攻を食い止めるための追加支援を訴える見通しだ。
スイスでは6月15、16両日、ウクライナが提唱した和平案を推進する「平和サミット」が予定されている。ゼレンスキー氏は今月23日、ロシアが今後、外交や情報戦も駆使して開催の妨害を試みると警告した。
[時事通信社]
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