裏金事件、倫理観欠如が原因=久米晃・元自民党事務局長―政治改革・識者インタビュー(4)
―自民党の派閥裏金事件をどう見る。
国会議員の倫理観欠如から起きた問題だ。(党が1989年に策定した)「政治改革大綱」をほごにしてきた結果だ。
―大綱は党役員と閣僚に派閥離脱を求めている。
岸田文雄首相自身がその一線を越えていた。党全体に緩み、おごり、政権交代はないとの油断があったのではないか。
―自民は安倍、二階両派の議員ら39人を処分した。
基準がない中で、世論がどんどん沸騰し、人民裁判みたいになってしまった。
―真相究明は。
これ以上は難しいのではないか。今後このようなことを二度とやらせないことだ。そのためには厳しい法律を作らざるを得ないが、選挙や政治にはカネがかかる。人件費や広報宣伝費など最低限必要な経費がある。選挙区の面積でも経費の多寡は変わる。今回は私腹を肥やしているように見えるから国民は怒っている。資金の出入りを透明にすることが重要だ。
―政治資金規正法改正は「連座制」が焦点だ。
法律をきちんと守っていれば、導入しても何の問題もない。ただ、秘書が意図的に議員を陥れる場合などへの安全弁は必要だ。
―企業・団体献金は禁止すべきか。
企業・団体献金は必要だ。日本は個人献金の風土もない。使途を明らかにすれば問題ない。禁止するなら、労働組合の献金や人の派遣も禁止や規制をすべきだ。
―4月の衆院3補欠選挙は自民が「全敗」した。
岸田政権の支持率は一昨年からだんだん落ちているが、その怒りが頂点に達したということではないか。国民は、政権が「諸課題」に対して、一つも結果を出していないと思っている。
―衆院解散・総選挙の時期は。
岸田首相で解散はできないと思う。仮に解散すれば、仲間を何十人も道連れにすることになり、即退陣だ。そもそも総選挙で勝てるほど支持率があれば、解散しなくても(今秋の)党総裁選で再選できる。今のままでは岸田首相の総裁再選も厳しい。ただ、政権交代まではいかないと思うが、今は党そのものへの不信が高まる一方だ。次に誰が総裁になっても(総選挙で)現有議席を守るのは難しいと思う。
[時事通信社]
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