日本海スルメイカ、資源量急減　中国違法乱獲、２０年強で４分の１

　日本海に生息するスルメイカの資源量が急減している。海水温上昇や中国による違法な乱獲が要因とみられ、２０１９年度は約５４万トンと、直近で最も多い１９９７年度（約２０１万トン）の約４分の１に減少。国際的な資源管理策の導入が求められるが、関係国には北朝鮮も含まれ、実現のハードルは高い。
　国立研究開発法人の水産研究・教育機構はこのほど、中国の漁獲量を初めて加味した資源評価結果を公表した。これまで中国の操業実態は不明だったが、論文に記載されたデータなどを基に、１９年度の日本海での漁獲量を１５万トンと推計。一方、日本は１０分の１以下の約１万４０００トンにとどまり、過去３０年間で最低だ。
　日本海に排他的経済水域（ＥＥＺ）を持たない中国は漁をできないが、北朝鮮から漁業権を買って同国のＥＥＺで操業しているとされる。しかし、「大半は日本のＥＥＺなどで密漁した」（日本政府関係者）疑いが濃い。
　中国漁船が特に標的にするのは、日本のＥＥＺ内にある石川県・能登半島沖の「大和堆（やまとたい）」と呼ばれる好漁場。水産庁が今年１～９月に退去警告した中国漁船は延べ２５８６隻と前年同期の３倍に上る。
　資源回復には、日本海を囲む日本、韓国、北朝鮮、ロシアの４カ国が協調し、違法操業を阻止するとともに、漁獲枠を設けることがカギとなる。しかし、「国交がない上、経済制裁を科す中、北朝鮮を巻き込むのは困難」（同）との見方が強い。
　海洋政策に詳しい東海大の山田吉彦教授は「資源が枯渇しかねない状況を世界に訴え、韓国やロシアとルール作りを進めるべきだ」と述べ、北朝鮮抜きで協議を始めることの重要性を強調した。（2020/11/24-13:31）

Stocks for Japanese flying squid in the Sea of Japan have been declining sharply, apparently due to a rise in sea temperatures and overfishing by China.
   Squid stocks in fiscal 2019, which ended in March this year, came to some 540,000 tons, around a quarter of those of fiscal 1997, the latest peak.
   Although international resources management measures are necessary to combat the falling stocks, the implementation of such steps faces tough challenges as nations involved in the matter include North Korea.
   The Japan Fisheries Research and Education Agency recently released a maritime resources appraisal that took into consideration China's catches for the first time.
   Although China's fishing situation had been unclear up until now, the agency estimated that the country caught 150,000 tons of such squid in the Sea of Japan in fiscal 2019, on the basis of data included in research papers and other statistics.