コロナ拡大、相次ぐ決算延期 海外で業務停滞、在宅勤務も影響
新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、2020年3月期決算の発表を延期する上場企業が相次いでいる。世界各国の外出制限に伴い、海外拠点の財務データの集計に支障が出ているためだ。政府の緊急事態宣言を受けて在宅勤務を徹底する企業が増え、決算業務のさらなる停滞も懸念されている。
建設機械のコマツは、決算発表を4月30日から5月18日に延期。外出制限によって、海外拠点の在庫確認作業が遅れているという。日立製作所も、例年は早ければ4月下旬だった決算発表が5月中旬以降にずれ込む。住友電気工業や工作機械のツガミは海外の都市封鎖が響いて延期を決めた。
朝日放送グループホールディングスと西武ホールディングスは、緊急事態宣言を踏まえ、それぞれ発表を延期した。西武は、出社人数を絞るため「(決算集計の)実務に想定以上の日数が必要になる」と説明している。
監査法人が決算の適正さにお墨付きを与える監査業務への影響も深刻だ。移動自粛や在宅勤務の広がりで、倉庫などで在庫確認に立ち会うのが難しくなっている。日本公認会計士協会の手塚正彦会長は「感染防止措置の徹底で、決算・監査業務の制約が甚大になる」と危機感を示した。
「予定通り決算を発表できるか精査している」(電機大手)という企業もあり、延期は今後増える可能性がある。日本CFO協会が企業の経理担当幹部らを対象に行った調査によると、75%が決算業務に影響が出ると回答。「リモート(在宅)対応で全ての決算処理は不可能だ」との声が寄せられた。
東京証券取引所は通常、3月期決算では5月15日までの決算発表を求めているが、今回は遅延を認める方針。ただ、企業は6月下旬に株主総会シーズンを迎える。総会の2週間前には、決算を確定した上で招集通知を送る必要があるため、ぎりぎりの対応を迫られる企業も出そうだ。(2020/04/12-07:15)
Coronavirus Hampers Japanese Firms' Accounting Work
An increasing number of publicly traded companies in Japan are putting off the release of financial statements for the year ended last month due to the coronavirus pandemic.
They face difficulties in tallying up financial data overseas due to restrictions on going outdoors there. Japan's emergency declaration over the virus is also hampering work as the measure has prompted many companies to have their employees work from home.
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