2020.03.18 16:22Nation

新型コロナに急性膵炎治療薬 感染阻止、臨床研究へ―東大

記者会見する東京大医科学研究所の井上純一郎教授。急性膵炎(すいえん)治療薬が新型コロナウイルスの感染を阻止する可能性があると発表した=18日午前、東京都文京区

記者会見する東京大医科学研究所の井上純一郎教授。急性膵炎(すいえん)治療薬が新型コロナウイルスの感染を阻止する可能性があると発表した=18日午前、東京都文京区

 急性膵炎(すいえん)の治療薬として国内で長年使われてきた点滴薬剤「ナファモスタット(商品名フサン)」が新型コロナウイルスの感染を阻止する可能性があると、東京大医科学研究所の井上純一郎教授らが18日発表した。人の細胞への感染を模擬した実験の成果で、国立国際医療研究センターなどと近く臨床研究を始める方針。
 井上教授は「肺炎などの症状を抑えられると期待している。医療関係者は感染予防にも使えるのではないか」と話した。

 国内で使われる急性膵炎治療薬には口から飲む錠剤「カモスタット(同フオイパン)」もあり、ドイツ霊長類センターなどの研究チームが今月、感染阻止作用がある可能性を米科学誌セルで指摘していた。ナファモスタットはカモスタットに比べ、約10分の1の濃度で効くという。カモスタットはウイルスの増殖を防ぐ薬と併用する使い方が考えられる。
 新型コロナウイルスは球状で、内部に遺伝情報を担うリボ核酸(RNA)がある。表面にあるスパイクたんぱく質を人の気道などの細胞にある受容体たんぱく質「ACE2」に結合させた後、ウイルスの膜と細胞膜を融合させて侵入、感染する。膜融合を起こすには、細胞側のたんぱく質分解酵素「TMPRSS2」にスパイクたんぱく質を切断させる必要があり、ナファモスタットやカモスタットはこの酵素の働きを抑える。
 井上教授らは2016年、中東呼吸器症候群(MERS)のウイルスでナファモスタットが膜融合、感染を阻止すると発表していた。(2020/03/18-16:22)

2020.03.18 16:22Nation

Pancreatitis Drug May Block Coronavirus Infection: U of Tokyo


An intravenous drug that has long been used in Japan to treat acute pancreatitis may be effective in preventing infections with the novel coronavirus, a team of the University of Tokyo said Wednesday.
   The team, including Junichiro Inoue, professor at the university's Institute of Medical Science, plans to start clinical research soon on the drug, nafamostat mesylate, with institutions such as Japan's National Center for Global Health and Medicine.
   The team found the drug's possible ability through an experiment simulating the coronavirus' infection to human cells.
   "We're expecting the drug to suppress symptoms of pneumonia and other conditions," Inoue said.
   In an article published in U.S. science journal Cell earlier this month, a team including the German Primate Center suggested that camostat mesylate, an oral drug for acute pancreatitis also used in Japan, may be effective in preventing infections with the new coronavirus.

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