2024.03.31 14:24Nation

運転手と建設業、残業に上限 食品値上げで負担増継続―4月からこう変わる

 新年度に入る4月1日から、トラックなどの運転手、建設業、医師に対し、残業時間の上限規制の適用が始まる。働き方改革のためだが、人手不足が深刻化する「2024年問題」への懸念が伴う。食品などでは値上げが続き、24年度も家計は負担増に直面しそうだ。
 残業時間の規制は改正労働基準法に基づく。自動車の運転業務は年960時間、建設業は720時間が上限となる。医師は、地域医療維持などの理由があれば最大1860時間。現場の人繰りが苦しくなり、サービス維持が困難になる恐れがある。物流では、30年に荷物の34%が運べなくなるとの試算もある。
 物流を担う配達員の待遇改善に向け、ヤマト運輸と佐川急便は4月1日から宅配便を値上げする。燃料費の高騰も理由で、上げ幅は平均でそれぞれ2%と7%程度。
 タクシーの運転手不足に対応する規制緩和として、政府は一般ドライバーが自家用車で乗客を有償で運ぶ「ライドシェア」を4月から一部解禁する。特定の地域・時間帯に限り、東京などで順次運行が始まる見通しだ。
 原材料費や物流費の上昇を食品価格に転嫁する動きも続く。帝国データバンクによると、4月の値上げは2800品目を超える。ハムなど肉製品や調味料の値上げが目立つ。
 再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされる賦課金も、4月使用分から上がる。24年度の負担額は、標準家庭(月間使用量400キロワット時)で約1万円増える。
 医療・年金制度の見直しもある。物価や賃金の上昇を踏まえ、年金支給額は前年度比2.7%増加する。厚生年金の場合、夫婦2人世帯で月額6001円アップとなる。ただ、年金財政安定のため給付を抑制する「マクロ経済スライド」も同時に発動。年金の伸びは物価の上昇に追い付かず、実質では目減りとなる。
 国民健康保険の保険料の年間上限は、現行の104万円から2万円増えて106万円に。所得の高い75歳以上の後期高齢者が支払う医療保険料は引き上げとなる。対象は、年金収入が年211万円を超える約540万人。年収400万円なら年1万4000円の負担増となる。
 物価高に負けない賃上げが焦点の24年春闘は、今も中小企業で労使交渉が続く。既に妥結した企業の賃上げ率は、3月21日時点の連合の集計で5.25%。実質賃金が「年内にプラス転換する可能性は一段と高まった」(大和総研)と期待される中、家計の購買力が回復するかどうかが注目される。(2024/03/31-14:24)

2024.03.31 14:24Nation

New Overtime Limits, Other Changes to Kick In Mon.


Monday marks the start of a new fiscal year in Japan, ushering in changes such as the implementation of overtime limits on truck drivers, construction workers and doctors.
   The limits, part of work-style reform efforts, are spurring worries about possible service disruptions due to labor shortages. The situation is particularly serious in the trucking industry, where the issue is called the 2024 problem.
   Meanwhile, price increases are likely to continue for foods and other products. Household finances are expected to face growing burdens in fiscal 2024 as well.
   The new regulation, based on the revised labor standards law, caps annual overtime at 960 hours for truck drivers and 720 hours for construction workers. For doctors, the limit will be set at a maximum of 1,860 hours per year depending on reasons such as the need to maintain regional medical care.
   The caps are feared to cause shortages of workers, making it difficult to maintain services. One estimate has shown that the logistics industry will face a 34 pct shortfall in transportation capacity in 2030.

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