安倍派幹部に「離党勧告」検討　来月４日にも裏金処分―岸田首相

　岸田文雄首相（自民党総裁）が派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、安倍派元幹部の一部に対し、８段階ある党規律規約の処分で２番目に重い「離党の勧告」を科す方向で検討していることが分かった。複数の関係者が３０日明らかにした。４番目の「選挙における非公認」を軸に調整していたが、党内外の反応を踏まえ、より厳しい対応が必要との判断に傾いた。党紀委員会の審査を経て、４月４日にも処分を決定したい考えだ。
　処分は派閥からのキックバック（還流）を政治資金収支報告書に記載していなかった安倍、二階両派の８２人を対象に検討。首相はこのうち、塩谷立・元総務会長、下村博文元政調会長、西村康稔前経済産業相、世耕弘成前参院幹事長の４人への重い処分を想定している。安倍派会長だった安倍晋三元首相が２０２２年４月に還流廃止を決めたにもかかわらず、同氏の死去後に、同年８月の４人の協議を経て方針が覆った経緯があるためだ。
　首相は当初、「非公認」を中心に調整していたが、世論の反発が収まる兆しはない。新型コロナウイルス禍のさなかに銀座のクラブを訪れた３議員が離党を迫られたことを踏まえ、党内では「思い切った処分が必要」（閣僚）との声も根強い。
　西村、世耕両氏が衆院政治倫理審査会などで明かさなかった２２年３月の安倍派幹部会合の存在を、２９日に一転して認めたことにも批判がある。党関係者は「４人には深刻な問題を引き起こしている自覚がない。離党勧告もあり得る」と語った。
　首相は処分の重さについて、不記載額、役職歴、説明責任の果たし方などを総合的に判断すると説明している。党執行部にも４人を同列に処分することへの慎重論があり、首相は３番目に重い「党員資格の停止」も含め、なお熟慮を重ねるとみられる。
　安倍派有力議員「５人衆」のうち、西村、世耕両氏以外の松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長、萩生田光一前政調会長についても、６番目に重い「党の役職停止」から「非公認」などに引き上げられる可能性がある。中堅・若手議員の多くは７番目の「戒告」などにとどめる方針だ。（2024/03/31-07:00）

Japanese Prime Minister Fumio Kishida is considering punishing some members of his ruling Liberal Democratic Party involved in a political funds scandal by recommending them to leave the party, informed sources said Saturday.
   The recommendation, the second harshest of the eight penalties under the party's disciplinary rules, is likely to be issued to some former executives of the faction once led by former Prime Minister Shinzo Abe at the center of the scandal.
   Kishida initially considered punishing them by not giving them LDP endorsements as election candidates, the fourth-harshest penalty, but is tilting toward tougher measures in view of reactions from inside and outside the party.
   The punishments are expected to be decided as early as Thursday after a review by the Party Ethics Committee.
   Kishida, the LDP's president, intends to punish 82 members of two factions, including the Abe group, that failed to record money kicked back from fundraising party revenues in political funds reports.