異常発生から９０秒で墜落　再発防止策公表も、原因は不明―宮古島ヘリ事故で報告書・陸自

　沖縄県宮古島周辺で昨年４月、陸上自衛隊のＵＨ６０ＪＡヘリコプターが墜落した事故で、陸自は１４日、特異な事象などで２基あるエンジンの出力が相次いで低下し、異常発生から約９０秒で墜落したとする調査結果を公表した。原因は特定できなかったが、可能性のある事象全てに対策を施すことで、安全に運行できると結論付けた。
　報告書によると、事故当日の午後３時５４分４０秒ごろ、機体右側の第２エンジンに異常が生じ、２０秒余りで出力がほぼゼロになった。同５５分２０秒すぎには左側の第１エンジンの出力も低下し始め、その後約４０秒で機体は高度３００メートルから９５メートルに急下降。最初の異常発生から約９０秒で墜落していた。
　右側の第２エンジンには、制御系の異常で出力が徐々に低下する「ロールバック」という現象が起きたと推定。機体の取扱書にも記載がない特異な事象で、米国で発生例があるが、自衛隊機では初という。
　左側第１エンジンの出力低下原因については、(1)エンジン制御部位の異常(2)出力部位の異常(3)操縦士の誤操作―の三つに絞り込んだが、それ以上の特定はできなかった。ただ、音声データなどから、操縦士が誤停止させた可能性は低いとした。
　陸自は再発防止策として、安全教育にロールバックに関する内容を盛り込み、出力低下時の緊急対応手順を変更。第１、第２エンジンの異常につながった可能性がある部位について、より精細で高頻度な点検を行うとした。洋上での事故に備えた機材も充実させるという。
　事故機は昨年４月６日、離陸約１０分後に宮古島北方の洋上でレーダーから消失。機体は海中で見つかり、第８師団の坂本雄一師団長（当時）ら乗っていた１０人全員が死亡した。（2024/03/14-16:07）

Japan's Ground Self-Defense Force said in an investigative report released Thursday that last year's helicopter crash near Miyako Island in Okinawa Prefecture occurred about 90 seconds after engine output abnormalities.
   But the GSDF failed to determine the causes of the abnormalities, saying in the report that the outputs of the UH-60JA helicopter's two engines dropped one after another partly due to an "extraordinary phenomenon."
   The GSDF will be able to operate its helicopters safely by taking precautions against every possible eventuality, the report said.
   The crash of the helicopter on April 6 last year killed all 10 people on board, including Yuichi Sakamoto, the head of the GSDF's 8th Division.
   According to the report, at around 3:54:40 p.m. on the day, an abnormality occurred in the helicopter's right side engine and its output fell to nearly zero in a little more than 20 seconds.