「気持ちの整理はまだ」　遺族ら犠牲者に祈り―東日本大震災１３年

　東日本大震災の発生から１３年を迎えた１１日、津波で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島各県の沿岸部では、早朝から祈りをささげる人の姿が見られた。「気持ちの整理はまだつかない」。大切な家族を津波で亡くした男性は、犠牲者の名簿を納めた石碑を寂しげに見詰めていた。
　骨組みだけになった旧防災対策庁舎が残る宮城県南三陸町の震災復興祈念公園。庁舎前の献花台に花を手向けた町職員の高橋彩さん（３７）は「友人だった同僚もいた。この１年の報告を伝えに来た」と話した。
　１９０人以上が亡くなった仙台市若林区の荒浜地区では、地元住民らが日の出とともに手を合わせた。友人らと訪れた会社員の川合靖子さん（５３）＝同市青葉区＝は「親族がまだ見つからない知り合いもいる。早く見つかるようにと祈った」。
　震災当時、多くの住民らが津波から逃れるために避難した同県石巻市の日和山。小中学校の同級生を津波で亡くした遠藤浩子さん（７９）は「あの日のことを思うと今も胸が苦しい」と言葉少なに語った。
　福島県浪江町の町営大平山霊園では、早朝から家族や知人の死を悼む人が訪れた。津波で両親と当時１３歳だったおいを亡くした会社経営の衣山頼之さん（５４）は「両親やおいが今もどこかで生きているのではないかと思うことがある」とつぶやいた。
　津波で母親を亡くした長沼孝枝さん（６０）は墓前に手を合わせ、「この日が来ると当時のことを思い出し、１３年が経過した実感がない」と話した。
　岩手県陸前高田市内の墓地。同市の無職高橋和枝さん（７１）は息子夫婦の結婚式の写真が入った墓に花を供え、手を合わせていた。結婚して間もなかった２人は今も行方が分からない。「あなたたちを供養するために何とか頑張っています。せめてどこかで見ていて」と伝えた。
　同市の自営業村上律子さん（７３）は、津波の犠牲になった夫の墓参りに訪れた。１３年が経過し、世間で震災が風化していくことを「仕方がない」と考える。「家族で静かにお墓参りができればいい」と続けた。（2024/03/11-11:32）

Prayers were offered on Monday for victims of a massive tsunami that struck coastal areas across the northeastern Japan prefectures of Iwate, Miyagi and Fukushima 13 years ago.
   In the morning, a man who lost his loved one in the March 11, 2011, tsunami was gazing sadly at a stone monument containing a list of victims. "I still have to sort out my feelings," he said.
   In the Miyagi town of Minamisanriku, Aya Takahashi laid flowers in front of the shell of a tsunami-engulfed municipal building where 43 people died, including town officials who were calling on residents to evacuate.
   The building, which was once the town's disaster management center, has been preserved within a disaster memorial park as a reminder of the tragic event.
   "The colleagues include one of my friends," Takahashi, 37, said. "I'm here to tell them what happened this past year."