楽天送料、公取委に調査要請へ 無料化に出店者反発―負担押し付け「地位乱用」
インターネット通販サイト「楽天市場」を運営する楽天が、3月中旬から一定額以上を購入した利用者への送料を無料に統一する方針を決め、負担する出店者に反発が広がっている。一部の出店者は近く、一方的な規約変更は独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たるとして、公正取引委員会に調査を求める方針だ。
楽天市場ではこれまで、出店者が各自で送料を設定していた。楽天は昨年1月、全店共通の基準を導入する方針を表明。同12月、冷凍冷蔵品などを除き税込み3980円(沖縄・離島は9800円)以上の購入で無料とし、今年3月18日から開始すると各店に通知した。
競合するアマゾンなどに対抗する狙いとみられ、楽天側は「送料や価格表示が分かりやすくなり、ユーザー獲得や利用頻度の増加が期待できる」と説明。一方、送料を負担する出店者側からは「価格に上乗せしなければ赤字になる」「値上げすれば客が離れる」などと懸念の声が上がっている。
一部の出店者は撤回を求め、昨年10月に任意団体「楽天ユニオン」を結成。団体交渉の準備を進めており、約300店が参加の意思を表明しているという。近く公取委に署名を持参し、調査を求める方針だ。
「導入されたら商売にならない」と嘆くのは、東京都内の計量器販売会社の男性社長(68)。現在は8800円以上の購入で送料無料としているが、利益率は10%程度で、3980円では赤字になる。アマゾンなどでも販売するが、集客力の高い楽天市場の売り上げが5~6割を占め、「楽天からは離れられない」とこぼす。
独禁法は、取引上の地位が優越していることを利用し、相手方に不利益な条件を設定することを優越的地位の乱用として禁じている。公取委は昨年10月にまとめたネット通販に関する報告書で、運営会社による一方的な規約変更などは「問題となる恐れがある」と指摘している。
公取委幹部は「出店者側は嫌なら他で販売すると言えるのか。楽天との力関係もさまざまで、個別に見ないと違法かは分からない」と話す。楽天は「公取委から依頼があれば、真摯(しんし)に調査に協力する」とコメントした。(2020/01/20-07:08)
Rakuten Faces Backlash over Free-of-Charge Delivery Plan
Rakuten Inc.'s plans to scrap delivery fees for certain purchases at its online shopping site are drawing a harsh response from tenants who complain that the Japanese company's move violates the antimonopoly law.
Some tenants at the Rakuten Ichiba cybermall plan to ask the Fair Trade Commission to investigate Rakuten's move, alleging that the company's unilateral decision amounts to an abuse of its dominant position.
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