再生エネ施設整備に「待った」 宮城県、独自課税を検討―温暖化対策か、森林保全か
政府が掲げる温室効果ガス排出の2050年実質ゼロ目標の下、再生可能エネルギーの活用が活発化している。一方で、行き過ぎた開発を懸念する自治体の間では、条例を制定して独自に課税する「法定外税」によって開発抑制を目指す動きが出ている。宮城県は9月下旬、森林を開発して発電施設を設置する事業者への課税検討を表明。温暖化対策を進めつつ、森林伐採による環境破壊を防ぐという難しい課題に直面している。
宮城が検討するのは、太陽光、風力、バイオマスなどの発電施設を設置する事業者への課税。県によると、森林以外に整備地を誘導することを目的とした課税は全国初の試みだという。税率や既存施設を含めるかなどを検討し、24年4月の導入を目指す。
県内では、森林伐採を伴う事業が環境破壊や景観悪化を懸念する住民とトラブルになるケースも。住民団体は「山林を切り崩してまで再エネを推進すべきか」と訴える。
村井嘉浩知事は「再エネの普及が環境破壊や住民の不安につながってはいけない。地域が納得できる場所に造ってもらうための税だ」と説明。市町村が再エネ立地を促進する区域については規制対象から外すことも検討する。
尚絅学院大の長谷川公一特任教授(環境社会学)は「森林伐採を伴う事業が増える中、自治体が独自に規制をかけるのは賢明なやり方だ。課税の実効性については他自治体も注目しているのではないか」と語る。
◇事業者反発、めど立たず
一方、岡山県美作市は21年12月、急斜面などに設置した大規模太陽光パネルに対する課税条例を制定。「メガソーラーで地盤が弱くなり、大規模災害が起こるのでは」と心配する住民に配慮した。しかし、既に事業を展開している事業者らが反発し、実現のめどは立っていない。
対象は、地面に直接設置された発電規模が10キロワット以上の太陽光パネルなどで、パネル1平方メートル当たり50円を課税。年間1億1000万円の税収を見込み、豪雨対策などに充てる予定だった。
市税務課は「再エネを否定するつもりはないが、乱開発で土砂災害が起これば人命に関わる可能性もある」と主張。これに対し、事業者側は「新税は固定資産税との二重課税になる。『太陽光パネルは危険だ』という風評被害にもつながる」と批判する。
今年6月、総務省は新税について、大規模事業者と協議を尽くすよう市に要請したが、その後も両者の主張は平行線をたどる。今後、同省が不同意とすれば、市は国の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る可能性もあり、着地点は見えない。(2022/10/09-20:35)
Local Solar Panel Taxes Eyed to Prevent Deforestation, Disasters
Some local governments in Japan are moving to introduce their own taxes aimed at preventing excessive land development and deforestation by renewable energy developers.
While the use of renewable energy sources is gaining momentum under the central government's target of effectively eliminating greenhouse gas emissions by 2050, local communities are facing the difficult task of promoting renewable energy and at the same time preventing environmental destruction.
The prefectural government of Miyagi said late last month that it will consider taxing businesses that cut down trees to make room for solar, wind, biomass and other power generation facilities.
This is the first attempt in the country to levy a local tax aimed at inducing developers to build renewable energy facilities in locations other than forests, according to the Miyagi government.
The government aims to introduce the tax in April 2024 after discussing details such as the tax rate and whether to target existing facilities as well.
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