脱炭素は素材から 鉄や樹脂、供給開始へ
2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(脱炭素)」実現のため、製造業の排出する二酸化炭素(CO2)の7割超を占める素材産業が取り組みを進めている。自動車メーカーが取引先にもCO2削減を求める中、「顧客の排出削減に寄与し、日本の国際競争力を支える」(日本製鉄の橋本英二社長)と意気込む。
製造業で最も多くCO2を排出している鉄鋼業では、日本製鉄が23年度から脱炭素鋼の供給を開始する。太陽光などで発電した「グリーン電力」により、電炉で年70万トンの鋼材を生産する。既に顧客からの引き合いがあるという。
化学産業では、三菱ケミカルが自動車部品などに使う樹脂「MMAモノマー」に、植物由来の原料を採用する。製造工程で出るCO2より原料の植物が吸収する量が多く、排出量が実質的にゼロになる仕組みだ。23年に試験生産を開始し、26年の商用化を目指す。
自動車関連以外ではセメントも排出量が多い。大林組は木材から作った材料を混ぜることで、コンクリートの内部にCO2を固定する技術を、日本製紙などと共同開発した。排出量が実質9割減るといい、幅広い製品への適用を検討する。
ただ、脱炭素のための抜本的な技術開発はまだ途上だ。エネルギーや産業用に必要となる大量の水素の安定供給などに向け、「連続かつ破壊的にイノベーションを起こす必要がある」(石油化学工業協会の和賀昌之会長)という。
また、鉄鋼、化学、セメント、製紙の4産業だけで、技術開発や設備投資に計24兆円が必要とみられる。支援を求める業界に対し、政府は国債発行などで対応する姿勢を示しており、国民負担の増加が懸念される。(2022/06/07-07:09)
FOCUS: Japan Materials Makers Moving to Cut CO2 Emissions
Japanese materials makers are promoting efforts to reduce carbon dioxide emissions in order to realize net zero greenhouse gas emissions by 2050.
The move comes as automakers are urging their suppliers to reduce CO2 emissions. The materials industry accounts for over 70 pct of CO2 emissions by the manufacturing sector, with the biggest emitter being steelmakers.
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