マウスのアキレスけんなど強化 実験で運動能力向上―東京医科歯科大
アキレスけんなどの骨と筋肉をつなぐけんで、運動により加わる力を細胞の表面で感知する膜たんぱく質の働きを高めると、ジャンプ力や走る速さが大幅に向上することが分かった。東京医科歯科大や米スクリプス研究所、順天堂大などの研究チームがマウスの遺伝子操作実験で発見し、1日付の米科学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンで発表した。
このセンサーの役割を果たす膜たんぱく質は、ノーベル医学生理学賞を昨年受賞したスクリプス研究所のアデム・パタプーティアン教授が発見した「PIEZO1(ピエゾワン)」。働きが高まるとマウスのアキレスけんが太く、しなやかに伸びるようになり、ジャンプしたり、走ったりする際のばね機能が強まる。西アフリカがルーツとみられる中米ジャマイカの陸上競技選手では、PIEZO1の働きが高まる遺伝子変異を持つ人が多いことも判明した。
東京医科歯科大の浅原弘嗣教授は「筋肉ではなく、けんだけで運動能力が高まるのは教科書的には想像できなかった発見だ。将来は運動能力が落ちた高齢者のけんを強める薬ができるのではないか」と話している。浅原教授らはPIEZO1からの信号を受けてけんを作る遺伝子「Mkx」を過去に発見し、人工的にけんを作る研究にも取り組んでおり、技術開発が進むという。
一方でスポーツ選手のドーピングに悪用される懸念も指摘し、対策が必要との考えを示した。
PIEZO1はけんだけでなく体のさまざまな細胞にある。浅原教授や東京医科歯科大の中道亮非常勤講師らはマウスのPIEZO1遺伝子について、働きが高い変異型に置き換える操作を全身、筋肉のみ、けんのみの3パターンで行った。その結果、全身かけんで操作した場合に運動能力が向上した。(2022/06/02-06:05)
Enhanced Protein in Tendons Found to Boost Physical Ability
A study on mice by Japanese and other researchers has found that physical ability improves significantly when the function of mechanical sensor protein Piezo1 in tendons is enhanced.
The researchers mainly from Tokyo Medical and Dental University and Juntendo University, both of Japan, as well as the Scripps Research Institute of the United States, made the findings by genetically modifying Piezo1 in mouse tendons, according to the study published in the Wednesday edition of the U.S. journal Science Translational Medical.
Tendons, including the Achilles, join muscles to bones. When the function of Piezo1 is enhanced, the Achilles tendon of a mouse becomes thicker and more flexible, allowing the mouse to jump higher and run faster, the research team said.
The Piezo1 membrane protein, which exists on cell surfaces and senses mechanical forces from physical movements, was discovered by professor Ardem Patapoutian of the Scripps Research Institute, a co-winner of the 2021 Nobel Prize in Physiology or Medicine.
The team also found that among Jamaican athletes, whose ethnic roots likely can be traced back to West Africa, many have a mutation that enhances the function of Piezo1.
最新ニュース
写真特集
-
【高校通算140本塁打の強打者】佐々木麟太郎
-
【駅伝】第101回箱根駅伝〔2025〕
-
【野球】慶応大の4番打者・清原正吾
-
【競馬】女性騎手・藤田菜七子
-
日本人メダリスト〔パリパラリンピック〕
-
【近代五種】佐藤大宗〔パリ五輪〕
-
【アーティスティックスイミング】日本代表〔パリ五輪〕
-
【ゴルフ】山下美夢有〔パリ五輪〕