経済安保、民間対応が課題 政府関与や負担増に懸念も
11日成立した経済安全保障推進法は、半導体といった重要物資のサプライチェーン(供給網)強化など国家戦略的な政策を推し進める柱となる。一方で、物資や技術、基幹インフラに関する政府の関与が強まり、民間企業側には法対応の負担増への懸念がある。政策の定着には官民の十分な意思疎通が不可欠だ。
ロシアのウクライナ侵攻により供給網やエネルギー資源の調達の重要性は一段と高まった。経済安保政策に関わる内閣官房関係者は「経済、先端技術政策を安保上の観点で目配りすることが不可欠となった」と指摘。推進法を確実に施行し、地政学リスクへの備えを拡充する考えを示した。
推進法では、半導体などの海外メーカーの国内生産誘致も進め、重要物資の供給網を強化する。金融、情報通信など14分野の基幹インフラについては、安保上の懸念がある国の製品を実質的に排除し、サイバー攻撃への備えを固める。今後定める政省令でメガバンクや大手通信会社などが対象事業者に指定される見通しだ。該当企業は事前審査への対応などの負担が増す。
法施行をにらみ、先端技術を扱う電機・ITの大手企業や大手金融機関は対応に乗り出した。富士通やNECなどが経済安保、国際リスク管理を担う専門部署を設置。金融関係者も「欧米が同様の規制を導入する中、対応はやむを得ない」と語る。
ただ、資金や人員が限られる中堅・中小企業の対応は容易ではない。大企業の間にも「経済安保政策が今後、どこまで拡充されるのか見えてこない」といった不安が漂う。小林鷹之経済安保担当相は法施行や新制度導入に当たっては「産学官それぞれで意見交換していく」と語っているが、今後の政省令で定める項目は138に上る。経団連の十倉雅和会長は11日のコメントで「必要な情報の共有を求めていく」と改めて表明した。(2022/05/12-07:19)
Communication with Businesses Crucial for Japan's Economic Security
The Japanese government needs to communicate with businesses sufficiently to ensure that economic security measures enacted Wednesday are implemented effectively, business leaders and economists said.
The economic security promotion law is a major pillar of the government's efforts to beef up supply chains of strategically important goods, such as semiconductors.
The efforts mean that the government will increase control over goods, technology and core infrastructure, placing a greater burden on businesses.
Ensuring the stability of supply chains and energy supplies has taken on added importance since Russia's invasion of Ukraine. The Japanese government will step up efforts to mitigate geopolitical risks by steadily enforcing the new law, a Cabinet Secretariat official in charge of economic security said.
"It has now become important to look at our economic and technology policy measures from the viewpoint of national security," the official said.
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