2022.04.18 07:02Business

「人材シェア」で社員にやりがい 知見活用、地方活性化も―総合商社

 総合商社で、社員が会社の仕事をしつつ、地方企業やベンチャー企業を支援する「人材シェア」の動きが出始めている。国内外で培った商社ならではの知見を生かし、社員にやりがいを感じて働いてもらうのが狙い。短期的には自社の収益に結び付かなくても、地方活性化や将来のビジネス機会につなげたい考えだ。
 丸紅は、地方銀行の取引先企業に対し、人材シェアによる経営相談を始めた。相談内容に応じ、中堅社員中心の有志による社内横断チームを編成。昨年夏以降、中部地方にある床の滑り止め剤メーカーの販路拡大や、アクセサリー販売店の海外向けインターネット通販導入に取り組んだ。丸紅が地銀に派遣している出向者とも協力し、チームに加わった社員の経験を基に解決策を探った。
 社員は、就業時間内に担当業務とは異なる社内の仕事を「兼業」できる人事制度を利用してチームに参加する。販路拡大に携わった古賀嵩さん(33)は「メーカーの立場で問題解決を考えるいい機会になった。今後の仕事に生かせそう」と満足げだ。
 相談は無償で、丸紅の販路を利用するわけでもない。仕組みを考案した部署の担当者は「地方企業の困りごとの解決を支援して地域を盛り上げるとともに、丸紅の国内事業強化につなげたい」と説明する。
 働き方の多様化で人材シェアに取り組む商社もある。双日は昨年、職務内容を明確化する「ジョブ型」の人事制度を導入した新会社を設立。双日の35~55歳の社員が新会社に移籍できるようにした。週3日相当、元の職場の仕事をすれば、ほかの時間は起業や介護など自由に使える。40代の男性社員が副業として、群馬県のメーカーの工場で経営コンサルタントを行っている例などがある。
 新会社の丸山優敏取締役は「多様な価値観を持つ社員が、高いモチベーションを維持しながら働き続けられるよう設立した」と話す。商社の人材は販路拡大や海外進出などの経験が評価され、主にメーカーからのニーズが高いという。今後、社員と外部企業をマッチングさせるシステムを構築する予定だ。(2022/04/18-07:02)

2022.04.18 07:02Business

Traders Tapping "Human Resources Sharing" to Motivate Employees


Major Japanese trading companies have started to use "human resources sharing" programs to motivate employees by allowing them to extend their unique knowledge and skills beyond industry boundaries, for a sense of fulfillment in their work.
   Such programs are not intended for profits in the short term, but to support local businesses and create future business opportunities.

最新ニュース

写真特集

最新動画