企業の人権対策で指針検討　中谷首相補佐官インタビュー

　中谷元・首相補佐官（国際人権問題担当）は時事通信のインタビューで、企業が自社や取引先の供給網で人権侵害の問題が生じたり、巻き込まれたりしないようにするためのガイドライン策定を検討する考えを示した。
　中谷氏は、政府が実施した調査で多くの企業が人権対策をまとめておらず、実施方法も分からないと回答していることを念頭に、「日本企業が海外活動で損害を受けないようにしないといけない」と指摘。外務、経済産業、法務各省などによるチームで指針を検討する意向を示した。
　中国・新疆ウイグル自治区産の綿をめぐり、米国がファーストリテイリング傘下のユニクロ製シャツの輸入を差し止めたことが今春に判明。中谷氏は「繊維に限らずハイテクや機微技術など日本企業が海外活動で困らないような措置を検討したい」と述べた。
　欧米では、強制労働など人権侵害リスクへの予防策を企業に求める「人権デューデリジェンス（適正評価手続き）法」制定の動きも広がっている。これに関し、中谷氏は「日本の企業活動にも大きく影響している。ビジネスと人権という観点から検討していきたい」と意欲を見せた。
　人権侵害に関わった他国の高官らに制裁を科す「日本版マグニツキー法」については、各党が議員立法で法案をまとめるのが基本と説明した。日本が批准していないジェノサイド条約に関しては「必要性や必要となる国内法の整備を関係省庁と連携して検討したい」と語った。
　ウイグルや香港の人権問題を抱える中国にも言及。「疑念や懸念は中国自身がしっかり情報公開し、疑義を持たれないようにする必要がある」と指摘した。米国などが検討する北京冬季五輪の「外交ボイコット」に関しては「岸田文雄首相が総合的に判断する」と述べるにとどめた。
　インタビューは１１月３０日に行われた。（2021/12/02-07:07）

The Japanese government will consider drawing up guidelines to prevent human rights issues related to corporate supply chains, Gen Nakatani, adviser to Prime Minister Fumio Kishida, has said.
   The guidelines would also help prevent Japanese businesses from becoming involved in such issues through their own or partners' supply chains, Nakatani, in charge of international human rights issues, said in a recent interview with Jiji Press.
   "We must prevent Japanese companies from suffering losses from their overseas activities," Nakatani said, apparently bearing in mind a recent government survey showing that many Japanese companies have not developed a human rights policy or do not know how to do so.
   He indicated that a team of officials from the foreign, industry and justice ministries will work on the guidelines.
   In spring, U.S. authorities were found to have blocked imports of Uniqlo brand shirts by Japan's Fast Retailing Co. over cotton made in the Xinjiang Uighur region, where China is accused of committing human rights abuses.