2021.11.15 13:33Nation

危機対応、課題浮き彫り こども園、防犯グッズなく―宮城の刃物男事件

 宮城県登米市の認定こども園に刃物を持った男が侵入した事件は、職員の機転で園児に危害が及ぶ事態を免れた一方で、危機管理の難しさを浮き彫りにした。県は事件を受け、県内の保育園などに防犯マニュアルの確認などを指示。保育施設の関係者は対策の再検討を求められている。
 事件は9日午前10時40分ごろ、同市豊里町の「豊里こども園」で発生。無職の男(31)が柵を乗り越えて敷地内に侵入し、刃物で職員に切り掛かった。職員4人が素手で取り押さえ、駆け付けた警察官に引き渡した。けが人はなかった。
 調べに対し、男は「子どもを殺す目的で侵入した。2人以上殺して死刑になるつもりだった」と供述しているといい、県警幹部は「大事件にならず良かった」と胸をなで下ろす。
 「逃げてしまったら子どもたちに危害が及ぶと思い、立ち向かった」。取り押さえた男性保育士らは11日、取材に応じた。園の周辺をうろつく不審者を発見し、刺激しないようアイコンタクトなどで情報共有。「雨が降りそうだから中に入ろうか」と、園庭にいた園児71人を避難させたという。
 2001年6月の大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件後、厚生労働省などは保育施設に危機管理マニュアルの策定を指示。豊里こども園は今年4月に開園し、机上訓練などを2回行っていた。ただ、上野律子園長(59)は「不審者を取り押さえることは想定外だった」と話した。
 マニュアル上は避難と通報が基本原則で、さすまたなどの防犯グッズは配備されていなかった。保育士は女性が多く、登米市子育て支援課の担当者は「さすまたなどは侵入者の武器になる可能性があり、有効に扱えるか課題もある」と説明する。
 事件を受け、豊里こども園では防犯スプレーなどの導入を検討する。宮城教育大の佐藤哲也教授(幼児教育学)は「防犯グッズを常備し、警察などと連携して護身術の研修などに取り組み、地域に広報することで抑止効果につながる」と指摘。マニュアルの検証や、行政の監査なども必要だとしている。(2021/11/15-13:33)

2021.11.15 13:33Nation

Child Care Center Security under Spotlight after Knife Attack


A break-in at a child care center in Miyagi Prefecture, northeastern Japan, by a knife-wielding man has underlined the difficulty of crisis management at such facilities.
   A 31-year-old man trespassed at a certified center for early childhood education and care in the city of Tome on the morning of Nov. 9. He was restrained by four staff members and handed over to the police, with no one injured.
   The incident prompted the Miyagi prefectural government to instruct day care centers and other child care facilities in the prefecture to review their crime prevention manuals.
   The intruder told investigators that he entered the child care center with an intention to kill children, and that he wanted to get the death penalty by murdering multiple people, according to investigative sources.
   "We're glad it did not turn into a worse incident," a senior official at the Miyagi prefectural police said.

最新ニュース

写真特集

最新動画