5人殺傷、被告に無罪 精神障害で「心神喪失疑い」―神戸地裁
神戸市北区で2017年7月、祖父母ら5人を殺傷したとして、殺人罪などに問われた無職の男性被告(30)の裁判員裁判の判決が4日、神戸地裁であった。飯島健太郎裁判長は「正常な精神作用が機能しておらず、妄想などの圧倒的影響下にあった疑いを払拭(ふっしょく)できない」と指摘し、心神喪失状態だった疑いが残ると判断して刑事責任能力を認めず、無罪(求刑無期懲役)を言い渡した。
事実関係に争いはなく、争点は被告の刑事責任能力の程度だった。起訴前に精神鑑定した2人の医師の意見は割れており、飯島裁判長は妄想型統合失調症と診断した1人目の鑑定結果を採用。殺害した相手を、人ではない「哲学的ゾンビ」だと思っていたとの妄想について、「信じ切っていたか、そうでないとしても疑念はごく小さく、思いとどまることはできなかった」と判断した。
検察側は「精神障害の影響は圧倒的とは言えない」とする2人目の医師の鑑定結果を基に、心神耗弱を主張していたが、飯島裁判長は、同医師と被告との面接が1回のみで、5分程度だったことなどから、「鑑定手法は不十分で、(1人目に)比肩するだけの信用性を認めることはできない」と退けた。
被告は17年7月16日朝、神戸市北区の自宅やその周辺で、祖父=当時(83)=と祖母=同(83)=、近所の女性=同(79)=を包丁で刺すなどして殺害。母親(57)ら2人も殺害しようとしたとして起訴された。
神戸地検の山下裕之次席検事の話 判決内容をよく検討し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい。(2021/11/04-22:53)
Kobe Man Found Not Guilty of Killing 3, Injuring 2
Kobe District Court on Thursday found a 30-year-old man not guilty by reason of insanity of killing three people and injuring two others in Kobe, western Japan, in July 2017.
In a lay judge trial, Presiding Judge Kentaro Iijima recognized that the defendant, Kanami Takeshima, was in a state of insanity at the time of the incident due to a mental disorder, acquitting him of charges including murder.
Public prosecutors had sought an indefinite prison term, claiming that Takeshima, who had developed schizophrenia, had a diminished capacity.
The focus of the trial was not on what happened in the incident but on the degree of criminal liability.
In an unusual move, the prosecution conducted a psychiatric examination twice before indicting Takeshima, who was not making sense.
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