iPS備蓄、支援打ち切り伝達 内閣官房担当者、山中教授に
人工多能性幹細胞(iPS細胞)の備蓄事業を進める京都大に対し、内閣官房の担当者が来年度から国による支援を打ち切る可能性を伝えていたことが1日、関係者への取材で分かった。国は2022年度までの支援を予定していたが、方針が転換された形で、事業の責任者を務める京大の山中伸弥教授は支援の継続を訴えている。
山中教授は、体のさまざまな組織に変わるiPS細胞を開発し、12年のノーベル医学生理学賞を受賞。政府は再生医療の産業化を目指し、22年度までの10年間で1100億円以上を研究開発に投じると決めた。文部科学省は山中教授が所長を務める京大のiPS細胞研究所に年27億円を支出し、うち10億円程度が備蓄事業に充てられてきた。
再生医療では、病気やけがで失われた細胞をiPS細胞などから作って移植する。患者自身のiPS細胞を作ると巨額の費用と時間がかかるため、同研究所は拒絶反応が起きにくい特殊な免疫の型を持った人からiPS細胞を作って備蓄し、大学や企業に提供している。
関係者によると、方針転換が示されたのは今年の夏ごろ。内閣官房の官僚が予算打ち切りの可能性を山中教授に伝えたという。
山中教授は突然の決定に反発し、国会議員に支援を訴えた。自民党調査会は11月、予算の段階的な削減にとどめる方針を決議。公明党も20年度は維持し、21年度以降は再検討する考えを示した。
再生医療をめぐっては、技術革新が進んだことで、iPS細胞の備蓄は意義が薄れていると指摘する関係者もいる。
山中教授は公的な備蓄事業の必要性を訴え、「人生を医療応用に懸けている」と強調。国の支援について、「オープンで科学的な議論をして決めてほしい」と話している。(2019/12/01-20:32)
Japan Suggests End to Public Aid for iPS Cell Stockpiling
A Japanese government official has informed Kyoto University that state financial assistance to the stockpiling of induced pluripotent stem, or iPS, cells may be terminated in fiscal 2020, it was learned Sunday.
The end of support would mark a policy reversal for the government, which has decided to provide at least 110 billion yen to the project over 10 years through fiscal 2022.
Kyoto University Prof. Shinya Yamanaka, the inventor of iPS cells, which can develop into almost any type of tissue, and the winner of the Nobel Prize in Physiology or Medicine in 2012, is calling for continued government assistance.
The science and technology ministry has provided 2.7 billion yen annually to the university's Center for iPS Cell Research and Application, or CiRA, headed by Yamanaka. Of the aid, some one billion yen a year has been used for the project to stockpile iPS cells for regenerative medicine.
As making iPS cells from patients' own cells is time-consuming and costly, CiRA produces iPS cells that are less likely to be rejected after transplants and stockpiles them for supply to universities and companies.
最新ニュース
-
カンタベリー大主教が辞意=少年虐待への対応に批判―英国教会
-
トランプ氏免責判断を延期=口止め料事件でNY州地裁
-
NY株、反落
-
「子供を持たない価値観」禁止=欧米に反発、修道院は特別扱い―ロシア下院
-
安保補佐官にウォルツ氏=国土安保長官はノーム氏―トランプ次期米政権、骨格徐々に
写真特集
-
【野球】慶応大の4番打者・清原正吾
-
【競馬】女性騎手・藤田菜七子
-
日本人メダリスト〔パリパラリンピック〕
-
【近代五種】佐藤大宗〔パリ五輪〕
-
【アーティスティックスイミング】日本代表〔パリ五輪〕
-
【ゴルフ】山下美夢有〔パリ五輪〕
-
閉会式〔パリ五輪〕
-
レスリング〔パリ五輪〕