侮辱罪厳罰化、懲役刑も ネット中傷に歯止め―法制審諮問へ
上川陽子法相は14日の閣議後の記者会見で、社会問題化しているインターネット上の誹謗(ひぼう)中傷行為に歯止めをかけるため、16日に開かれる法制審議会(法相の諮問機関)に刑法の侮辱罪厳罰化を諮問すると発表した。現行法で「拘留または科料」としている刑罰に懲役刑や禁錮刑、罰金刑を加える内容だ。
具体的には法定刑を「1年以下の懲役もしくは禁錮、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料」に改正する案を諮問する。
侮辱罪と同様に「名誉に対する罪」に分類される名誉毀損(きそん)罪は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」と規定される。被害の深刻さなどを勘案し、侮辱罪もこれに準じて厳しく対処する必要があると判断した。
刑法は「主刑」として軽い方から順に科料、拘留、罰金、禁錮、懲役、死刑と定める。拘留は1日以上30日未満、刑事施設に拘置する刑で、科料は1000円以上1万円未満を強制徴収するもの。これに対し、罰金は原則的に1万円以上、禁錮は有期の場合、原則として1月以上20年以下の拘置と規定される。懲役は刑務作業を科される。
諮問通りに法定刑が引き上げられると、侮辱罪の公訴時効は現行の1年から名誉毀損罪と同じ3年に延びる。ネット上の中傷は加害者の特定などに時間がかかり、被害者が泣き寝入りするケースが多いとされており、立件の可能性を増やすことで抑止や救済につなげる狙いもある。
この問題をめぐっては、2020年5月、ツイッターで被害を受けたプロレスラー木村花さん=当時(22)=が命を絶った。木村さんを「生きてるだけで笑いもの」「きもい」などと中傷する投稿をした男2人が今年3月と4月に侮辱罪で略式起訴されたが、東京簡裁が出した略式命令はいずれも科料9000円。結果の重大さと処分に大きな隔たりがあるとして、罰則強化を求める声が上がった。(2021/09/14-18:56)
Japan Eyes Heavier Penalties for Online Abuse
The Japanese government has drafted a plan to toughen the penalties for insults under the criminal code, in a bid to curb online abuse, Justice Minister Yoko Kamikawa said Tuesday.
Kamikawa told a press conference that she will ask the Legislative Council, an advisory panel to the minister, on Thursday to examine the draft plan.
Currently, the law stipulates "misdemeanor imprisonment without work or a petty fine" to punish insults.
The draft plan calls for the legal penalties for insults to newly include a prison term of up to one year and a fine of up to 300,000 yen.
The planned penalties compare with the penalties for defamation of a prison term of up to three years or a fine of up to 500,000 yen.
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