地銀再編、菅政権下で進展 支援奏功も「合併ありき」に課題
昨年9月に発足した菅義偉政権下では、合併や経営統合など地方銀行の再編が進展した。人口減少や低金利など経営環境が厳しさを増す中、政府・日銀の支援策が一定の効果を挙げたとも言える。ただ、地域経済を支える地銀に求められるのは、こうした再編だけにとらわれない経営基盤の強化。政府や金融界も、単なる「合併ありき」ではない取り組みが不可欠だ。
「(地銀は)数が多過ぎる」。首相就任前の昨年9月、菅氏は記者会見で地銀再編論をぶち上げた。呼応するように、政府・日銀が合併・統合などを支援する政策を導入。菅政権の看板政策の一つとして、「地銀再編」に向けた環境が整った。
これを受け、今年5月には青森銀行とみちのく銀行が「地域を支える力強い銀行が必要だ」(みちのく銀の藤沢貴之頭取)として合併を発表。福井銀行も福邦銀行の子会社化で最終合意したほか、7月にはフィデアホールディングスと東北銀行が統合を発表。再編の動きが加速した。
こうした菅政権の取り組みに、地銀関係者から「不毛な金利引き下げ競争よりも顧客サービスの向上に力を入れるべきであり、(再編促進は)正しい」との声も上がる。
ただ、効率化を重視する合併・統合は店舗や人員の削減といった痛みを伴い、地域の衰退を招きかねない。地域金融専門家は、新型コロナウイルス禍で疲弊する地域企業を支えるためにも、地銀自らの資本増強の必要性を強調。「合併・統合は最後の手段であるべきだ」と指摘する。
実際、インターネット金融大手SBIホールディングスと資本提携した筑波銀行や、地元企業から資本を募った南日本銀行など、合併・統合以外の手段で生き残る道を選んだ地銀もある。「アフターコロナに地方経済を支えるには地銀の役割が重要」と、ある地銀関係者。そのための経営基盤強化に向け、地銀の自発的な動きを広く促していけるか、新政権の手腕が試されることになる。(2021/09/09-22:44)
Japanese Regional Bank Realignment Accelerates under Suga
Regional bank realignment through mergers and business integrations has accelerated under outgoing Japanese Prime Minister Yoshihide Suga, thanks to support from the government and the Bank of Japan.
"There are too many (regional banks)," Suga said at a press conference in September last year before taking office as prime minister, pointing to the need for industry realignment.
The government and the central bank soon introduced measures to promote mergers and integrations of regional banks at a time when adverse factors such as the falling population and protracted low interest rates were dealing blows to the sector.
In May this year, Aomori Bank and Michinoku Bank , both based in the northern city of Aomori, said they would merge. "We need a strong bank that can support the regional economy," Michinoku Bank President Takayuki Fujisawa said.
Fukui Bank , based in the central city of Fukui, clinched a final agreement to make Fukuho Bank, also based in Fukui, a subsidiary.
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