2021.09.06 07:06Nation

高まる共生、踏み出す未来 「生きづらさ」変わる契機―東京パラ〔パラリンピック〕

 東京パラリンピックは5日、共生社会への機運の高まりの中で幕を閉じた。パラリンピアンの多くは変化の風を感じ取り、開かれた社会の到来を見詰める。
 「障害者同士の結婚は生きづらいなと思った」。柔道男子90キロ級の広瀬悠選手(42)は2015年、女子57キロ級の順子選手(30)と結婚したが、「住宅ローンや生命保険など全部門前払いだった」と明かす。
 ところが、大会が近づくにつれて「障害者というだけで話すら聞いてもらえない」状況は一変。「障害者同士で結婚した周囲の人もローンが通ったり、入れる保険も増えたりした。東京大会のおかげじゃないかと思うぐらい、ここ数年で変わった」と振り返る。
 柔道男子100キロ級の松本義和選手(59)は「全盲になって40年たつが、10年単位で世の中は暮らしやすくなっている」と話す。一昔前は店に1人で入ると緊張感が伝わってきたが「今はコンビニでも普通に接してくれる」と変化を感じている。
 「F1技術が一般社会に生かされるように世の中のプラスになるのは、すてきなこと」と語るのは、パラ陸上界で「車いすの鉄人」と呼ばれる伊藤智也選手(58)だ。先端ロボット開発などを手掛ける杉原行里社長(39)らと競技用車いすの開発に挑んだ過程で、着座姿勢の測定システムが生まれた。現在、頸髄(けいずい)損傷者を対象に国立障害者リハビリテーションセンターで実証実験が行われている。
 伊藤さんはテクノロジーの多様性を目の当たりにし、「そのスタートに私があったことは誇り高い」と言う。
 車いすを利用するパラカヌーの瀬立モニカ選手(23)は「まだ外の社会に出ていない人がすごくいる」と感じる。かつては自分もそうだったが、東京大会が「生きる希望」になった。生き生きとプレーするアスリートの姿を通じ、一歩外に踏み出す契機になればと願う。(2021/09/06-07:06)

2021.09.06 07:06Nation

Paralympians Hail Improved Inclusivity in Japan


Many Japanese athletes who took part in the Tokyo Paralympics, which came to a close on Sunday, feel that the Games brought about significant improvements to inclusivity in Japan.
   Haruka Hirose, 42, who competed in the men's 90-kilogram judo event at the Tokyo Games, said that he and his 30-year-old wife, Junko, who participated in the women's 57 kg judo category, were denied housing loans and life insurance coverage after they married in 2015.
   "I felt that it was difficult to live as a disabled couple," Hirose said.
   However, he noted, the situation changed drastically as the Tokyo Paralympics approached.
   "Disabled couples around us were able to get loans, and there are more insurance plans available for us," Hirose said. "Things have changed so much in the past several years that I feel it is thanks to the Tokyo Games."

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