拉致・北方領土進展せず 日米同盟重視、中国と対峙―菅政権
菅義偉首相は外交・安全保障政策で、安倍晋三前首相の路線を踏襲した。この分野の手腕が未知数とされる中、日米同盟の強化に努め、世界規模で影響力を増す中国と対峙(たいじ)。ただ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、首脳外交は停滞を余儀なくされた。北朝鮮による日本人拉致問題や、ロシアとの北方領土問題などの懸案は、次期首相に引き継がれることになる。
首相は昨年9月の就任記者会見で「日米同盟を基軸とした外交・安全保障政策を展開する」と表明。安倍氏が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想を引き継ぐ姿勢も強調した。「官邸主導」の安倍外交から一転し、菅外交は「外務省主導」に回帰した。
そのハイライトは4月の訪米だ。各国首脳に先駆けてバイデン大統領と対面で会談。共同声明では、52年ぶりに台湾海峡の「平和と安定の重要性」を盛り込んだ。6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)でも、中国に対する厳しい認識を共有するなど、自由主義陣営の結束に腐心した。
一方、近隣外交については、安倍政権から続く「構造的問題」(外務省幹部)を抱えることもあり、前進しなかった。韓国とは元徴用工、元慰安婦問題をめぐる対立が解けず、文在寅大統領ともG7であいさつを交わしただけに終わった。中国の習近平国家主席の国賓来日はコロナ禍に伴う「延期」が続いた。
拉致問題の解決に向け、北朝鮮の金正恩総書記と「無条件で向き合う」と呼び掛けたが、東京五輪に合わせた要人来日が見送られるなど、接点を見いだすことができなかった。ロシアのプーチン大統領との対面会談も実現しなかった。
コロナ禍で対面外交の機会は限られ、在任中の外遊は計3回にとどまった。
安倍政権から引き継いだ「敵基地攻撃能力」をめぐる議論は棚上げした。公明党の反発を意識したものだが、年内に開かれる日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)では、突っ込んだ議論も想定される。(2021/09/06-07:36)
Japan's Suga to Leave without Progress in Key Diplomatic Issues
Japanese Prime Minister Yoshihide Suga is expected to leave office without progress in key diplomatic issues, such as North Korea's abduction of Japanese nationals.
Suga, who last week announced his intention to step down, took over the foreign policy of his predecessor, former Prime Minister Shinzo Abe, when taking the helm of the government in September last year.
Although his diplomatic skills had been largely untested, Suga worked to strengthen Japan's alliance with the United States and shared serious concerns about China's aggressive moves with other major nations.
But difficult problems, such as the abduction issue and the territorial dispute over four northwestern Pacific islands with Russia, are left intact. They will be passed to his successor, who will take office after the ruling Liberal Democratic Party's presidential election Sept. 29.
His efforts on the diplomatic front were also thwarted by the persisting novel coronavirus pandemic.
最新ニュース
写真特集
-
【野球】慶応大の4番打者・清原正吾
-
【競馬】女性騎手・藤田菜七子
-
日本人メダリスト〔パリパラリンピック〕
-
【近代五種】佐藤大宗〔パリ五輪〕
-
【アーティスティックスイミング】日本代表〔パリ五輪〕
-
【ゴルフ】山下美夢有〔パリ五輪〕
-
閉会式〔パリ五輪〕
-
レスリング〔パリ五輪〕