2021.09.03 21:32Nation

菅首相、延命狙うも万策尽き 頼みの派閥支援望めず―小泉氏進言背中押す

 菅義偉首相(自民党総裁)が退陣表明に追い込まれたのは、局面打開を懸けて探った衆院解散、人事刷新という延命策がいずれも成就せず、万策尽きたためだ。総裁再選へ頼みとする派閥からの支援も得られず、最後は首相に近い小泉進次郎環境相から退陣を勧められ、引き際と判断した。
 3日午前、人事の一任取り付けのため党本部で開かれた臨時役員会。「この1年間、さまざまなことに取り組んできた」と切り出した首相は「総裁選は相当なエネルギーが必要なので出ない。新型コロナウイルス対応に専念する。役員人事は撤回したい」と表明。出席者に衝撃が走ったが、最後はねぎらいの拍手に包まれた。
 ◇「実績」30項目の紙片
 首相が最終的に決断したのは、3日朝とみられる。一任をめぐり紛糾が予想された総務会の幹部に、2日夜電話した首相は円滑な運営を要請。これに前後して、側近と人事について意見交換していた。加藤勝信官房長官が官邸で辞任の意向を伝えられたのは3日の役員会直前だった。
 首相は2日、党本部に二階俊博幹事長を訪ねた際、総裁選出馬の意向を伝えたとされる。だが、首相に近い議員は、実際は退陣を伝え、二階氏は首相が役員らに表明する舞台を用意するため「芝居を打った」との見方を示した。
 ここ数日間、首相と面会した党幹部らは、党内外の厳しい批判に気落ちした様子を見て、辞任の雰囲気を感じ取っていた。山口泰明選対委員長によると、1日に面会した際、首相は進退について「若干迷う」様子だったという。周辺には、携帯電話料金の値下げなど「実績」約30項目を列記した紙を示し「1年間でこれだけやってきた」と理解を得られない悔しさをにじませていた。
 退陣を決意した最大の理由は、総裁選で期待していた細田派や麻生派の支持が見通せないことだ。安倍晋三前首相や麻生太郎副総理兼財務相は最後まで首相を支える意向を示していたが、安倍氏が影響力を持つ最大派閥・細田派や第2派閥・麻生派は、中堅若手を中心に「菅首相では選挙の顔にならない」との声が大勢を占め、自主投票の方向に傾いていた。閣僚経験者は「安倍、麻生両氏による事実上の『菅切り』だ」と指摘した。
 ◇幹事長本命は石破氏
 昨年の総裁選でいち早く菅氏支持を打ち出した二階氏の交代を柱とする人事も、「先の見えない政権に入りたい者などいない」などと、当初から難航必至とみられていた。
 二階氏後任をめぐり、首相の「意中の人」は石破茂元幹事長だった。時の首相への批判も辞さない姿勢を以前から高く評価。2012年総裁選で安倍氏が出馬を見送った場合、石破氏擁立も視野に入れていた。この直後の人事で石破氏が幹事長に起用されたのは、菅氏の意向もあったとされる。
 ただ、石破氏と安倍、麻生両氏の対立は政界では周知。細田、麻生両派が岸田文雄前政調会長を支援する「名目」になりかねない。安倍氏の最側近で細田派の萩生田光一文部科学相も有力候補だったが、短命の幹事長に終われば同氏の将来に影響が出ることを首相が懸念した。
 再選が不透明な総裁選の先送りを狙い、月内の衆院解散を一時模索したことも深手となった。中谷元・元防衛相は「自分の都合で日程をずらすのは非常に卑劣だ」と公然と批判。総裁選直前の異例の人事と合わせ、党内からは「個利個略」「断末魔の叫び」との非難が渦巻いた。
 こうした状況を受けて、小泉氏は2日まで4日連続で首相と会った。総裁選は敗色濃厚とみていた小泉氏は「出るべきではない。引けば功績が評価されるが、現職の首相が負けたら格好がつかない」と撤退を進言。面倒を見てきた「側近」の言葉が首相の背中を押した。
 小泉氏は、退陣表明後も官邸で首相と約20分面会した。この後、記者団に「最後まで首相を支えたい」と話す小泉氏の目には光るものがあった。(2021/09/03-21:32)

2021.09.03 21:32Nation

FOCUS: Suga's Withdrawal Comes after Failed Attempts to Save Himself


Japanese Prime Minister Yoshihide Suga's decision to step down as president of the ruling Liberal Democratic Party, and by extension as prime minister, came after attempts to save his political career turned out to be a dud.
   Suga sought to use his power to call a snap election and to reshuffle the LDP's leadership team to break a deadlock, but he was unable to garner support from party factions and was recommended to pull out by even a confidant, Environment Minister Shinjiro Koizumi.
   At an extraordinary board meeting held at the LDP headquarters on Friday, Suga began his announcement of withdrawal by saying that his administration has engaged in many things in the past year.
   "The presidential election requires great energy, so I will not be participating," he said. "I will focus on novel coronavirus measures."
   The prime minister also said that he will revoke his plan to reshuffle the party's board, which he had announced earlier that week.

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