東京パラも緊急事態で決行 感染拡大続けば菅政権へ打撃
菅政権は24日開幕の東京パラリンピックも、東京五輪に続き、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言下で決行した。感染拡大を防ぐため国民に行動制限を求める一方、五輪やパラリンピックを「特別扱い」する対応は、宣言の効果を一層弱める恐れがある。医療逼迫(ひっぱく)が深刻になれば、宣言が9月12日の期限で解除できない事態に陥り、政権へのさらなる打撃は必至だ。
デルタ株の猛威によって全国各地の感染状況は悪化している。パラリンピックが始まった24日、政府は13都府県に発令中の宣言について、新たに8道県を追加する方針に追い込まれた。
菅義偉首相は24日夜のパラリンピック開会式に出席。これに先立つ自民党役員会で「感染対策を徹底する。世界中から集まるパラアスリートには大いに活躍していただき、共生社会の実現、心のバリアフリーを世界に伝えたい」と訴えた。五輪と同じく、原則無観客となったことを踏まえて競技の現地観戦は控える見通し。
焦点は、9月5日のパラリンピック閉幕後に宣言解除に向けた環境が整うかだ。首相は解除の前提を「国民の命と健康を守ることができる医療提供体制の確保」と説明しており、医療体制強化に全力を挙げる。同時に感染者急増を抑え込むため、宣言を根拠に飲食店の酒類提供停止、大型商業施設の人数制限などを求めている。
政府は東京五輪が国内の感染拡大につながったとの見方を否定しているが、専門家は国民の緩みにつながったとみている。政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は「五輪開催が人々の意識に与えた影響があったか、なかったかという議論でいえば、私たちはあったと思う」と指摘。パラリンピックにも同様の懸念がある。
各地で入院できない自宅療養者が増え続けているものの、政権に大会中断の考えは事実上ない。感染抑制と大会開催の「二兎(にと)を追う」姿勢を堅持する。感染収束の見通しが立たず宣言再延長となれば、首相が目指す自民党総裁再選や衆院解散・総選挙の戦略も狂いかねない。(2021/08/24-21:19)
COVID-19 Emergency to Remain in Place during Tokyo Paralympics
The Japanese government's COVID-19 state of emergency will remain in place in Tokyo and other areas in Japan during the Tokyo Paralympic Games from Tuesday.
The state of emergency, which was in place for the Japanese capital also during the Tokyo Olympics between July 23 and Aug. 8, imposes behavioral restrictions to prevent the spread of novel coronavirus infections. But "special treatment" given by the administration of Prime Minister Yoshihide Suga to the Tokyo Games may weaken the effect of the emergency.
If the strain on the medical system becomes more severe, it may result in an extension of the state of emergency, currently set to expire on Sept. 12, dealing a blow to the administration.
Before attending the opening ceremony of the Tokyo Paralympics on Tuesday night, Suga told an executive meeting of the ruling Liberal Democratic Party that the government "will take thorough measures against infections."
"We want Paralympic athletes from all over the world to perform brilliantly and hope to disseminate (messages) to realize an inclusive society and barrier-free mindsets," he added.
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