感染封じ込めへ崖っぷち 緊急事態回避に全力―初のまん延防止適用
新型コロナウイルス感染「第4波」に突入したとの見方が強まる中、政府は大阪府などを対象に「まん延防止等重点措置」の初適用に踏み切った。当初から懸念されたリバウンド(感染再拡大)が現実のものとなった形。感染は各地で急増しており、封じ込めに失敗すれば3回目の緊急事態宣言発令が現実味を帯びる。夏に東京五輪・パラリンピック、秋までに衆院選を控え、向こう1カ月が勝負となる。
◇「2週間後の東京」
大阪府や兵庫県は首都圏4都県に先行して2月末をもって緊急宣言を解除したばかり。大阪府の新規感染者数は解除後の3月下旬に200人台を突破し、徐々に増加傾向にあった。それでも政府は大阪府へのまん延防止措置の適用に慎重だった。飲食店などを対象にした営業時間短縮の要請など対策の効果をなお見極めたかったからだ。
潮目が変わったのは、新規感染者数が432人となった3月30日。400人を超えたのは緊急宣言解除後初めてで、同29日に吉村洋文府知事がまん延防止措置の適用を要請する方針を表明。首相周辺も「応ぜざるを得ない」と漏らした。同31日には宮城、兵庫両県を対象に加えることもほぼ固まった。
感染拡大は山形、愛媛、沖縄など全国各地に広がっている。政府が最も神経をとがらせているのは東京都だ。宣言解除後も再拡大の傾向を見せており、1日の感染確認者数は475人。政府関係者は「関西の状況は東京の2週間後の姿」と身構える。
1日の政府の基本的対処方針分科会では東京の警戒を強めるよう求める声が相次いだという。西村康稔経済再生担当相は衆院議院運営委員会で「最大限の警戒をしながら取り組む」と述べた。
◇「五輪はやる」
「1カ月間で感染拡大の芽を徹底的にたたく」。加藤勝信官房長官は1日の記者会見でこう強調した。
まん延防止措置は、宣言よりも対象区域を絞った適用が可能だ。この段階で対策を打つのは、3回目の緊急宣言発令を避けるためだ。実際、今回の対象区域となる仙台、神戸両市などの感染状況について、西村担当相は「エリアで見れば緊急事態宣言を出してもおかしくない」と指摘した。
宣言に追い込まれれば、世論に延期・中止論が根強い今夏の五輪開催への影響を回避できないとの事情がある。持ち直しつつある内閣支持率が感染再拡大で再び下落に転じれば、菅義偉首相の秋までの解散戦略にも狂いが生じる。
「オリンピックはやりますから」。政府高官は大阪府などへのまん延防止措置の適用が決まった1日、あくまでも開催する決意を示した。だが、吉村知事は大阪市内で14日に予定する聖火リレーを中止する方針を表明。宮城、兵庫両県が追随すれば、五輪開催の機運がしぼみかねない。
首相は1日夜の対策本部で、収束への展望が見えないコロナ対策に「秘策はない」と認めざるを得なかった。この日は正式な記者会見は開かず、記者団のぶら下がり取材にだけ応じ、官邸を後にした。(2021/04/01-20:54)
FOCUS: Japan Desperate to Avoid State of Emergency
The Japanese government is desperate to avoid a fresh coronavirus state of emergency in a crucial phase ahead of this summer's Tokyo Olympics and Paralympics.
Instead of declaring an emergency, the government Thursday decided for the first time to take pre-emergency measures against the virus under a revised special law that took effect in February.
If Japan fails to contain the resurgence of infections in many parts of the country, it will have to issue a COVID-19 state of emergency for the third time.
That would pose a new obstacle for the huge sporting events, with opinion polls already showing many Japanese citizens doubtful about them.
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