2021.11.26
スポーツ
【冬季五輪】「銀盤の記憶」女子フィギュアスケート (12/49)
2014年 ソチ冬季五輪 アデリナ・ソトニコワ 栄光も挫折も知る17歳が、新たな歴史をつくった。前回女王の金妍児を破ったソトニコワがロシアに女子初の金メダルをもたらした。フィギュアスケート王国に唯一、欠けていた勲章。その穴を埋めたのは、恵まれた才能と反骨精神だった。 コストナーを含む3人が0.80点差の中にひしめく小差で迎えたフリー。ほぼ完璧だった。中盤の3連続ジャンプの2回転ループでは着氷が乱れたが、技術点で金妍児を6点近く引き離し、「自分の目を疑った」。その差が金と銀を分けた。 12歳でロシア選手権初優勝。2010〜11年にジュニア・グランプリ(GP)ファイナルと世界ジュニア選手権の2冠を果たした。ロシア女子の看板娘として大事に育てられたが、シニア転向後はしばらく低迷。次々と頭角を現す若手の存在に脅かされながら復活を遂げた。「氷上で女性の魅力を出せる。私は進化した」と胸を張る。 ロシア選手権を制し、欧州選手権2位で、2枚の五輪切符のうちの1枚を手にした。しかし、開催国のヒロインの座は15歳のリプニツカヤに奪われた。団体ではSP、フリーとも外され、初代王者となったロシアで、蚊帳の外に置かれた。「腹が立った」。あの屈辱を思い出すと、声が震える。 フリー冒頭で鮮やかに決めたルッツ―トーループの連続3回転は、苦悩しながら磨き上げた。ばねにした悔しさは、栄冠にたどり着くために必要な最後のピースだった。「怒りが金メダルを導いてくれたとしたら、全ては最高の結末のためにあったのかも」。鬼気迫る4分の熱演で、ロシアの誇りになった。(写真は時事通信社)(2014年02月20日)