マスク氏が「憎悪扇動」 スペイン首相、ファシズム復活に警鐘
【マドリードAFP=時事】スペインのペドロ・サンチェス首相は8日、ドナルド・トランプ次期米大統領の盟友でX(旧ツイッター)の所有者でもあるイーロン・マスク氏が「欧州の制度を公然と攻撃」し、「憎悪をかき立てている」ため、ファシズムが復活する恐れがあると警鐘を鳴らした。≪写真は、スペイン・マドリードにあるソフィア王妃芸術センターで、「自由のスペイン」と銘打った公式記念行事で開会の辞を述べるペドロ・サンチェス首相≫
トランプ政権で「政府効率化省」のトップに就くマスク氏は、ドイツのオラフ・ショルツ首相や英国のキア・スターマー首相をはじめとする欧州の指導者への攻撃を繰り返し、欧州各国で反感を買っている。
サンチェス氏は、マドリードにあるソフィア王妃芸術センターで開催された同国の独裁者フランシスコ・フランコ総統の死後50年を記念する公式行事冒頭の演説で、マスク氏が「国際的な反動的運動」を率いて「われわれの制度を公然と攻撃し、憎悪をかき立て、ドイツで予定されている総選挙でナチズムの後継者への支持を公然と呼び掛けている」と非難した。ソフィア王妃芸術センターには、スペインの巨匠パブロ・ピカソが手掛けた最も有名な反フランコ作品の一つ「ゲルニカ」が所蔵されている。
サンチェス氏は「これらすべてが問題・挑戦であり、民主主義を信奉するわれわれ全員に対する挑戦だ」と主張。
「独裁政権は地球の裏側まで進出している」と述べ、欧州各地で極右が台頭していることに言及し、「われわれが乗り越えたと思っていたファシズムが、今や欧州で第3の政治勢力となっている」と続けた。
マスク氏はドイツで2月23日に実施される総選挙を前に、同国の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を強く支持。今月9日にはXで、AfDのアリス・ワイデル共同代表との対談を主催する。
また、スターマー氏には退陣と、英国で最も有名な極右活動家の一人、トミー・ロビンソン受刑者の釈放を要求している。
フランスのジャンノエル・バロ外相は8日、ラジオ局フランス・アンテルに対し、欧州連合(EU)欧州委員会はマスク氏による政治討論での干渉から加盟国を「毅然とした態度で」守るよう求め、「私たちは目を覚まさなければならない」と訴えた。【翻訳編集AFPBBNews】
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