金属くず買い受けで本人確認=銅線盗対策、検討会が報告書―新法を国会提出へ・警察庁
太陽光発電施設で銅線ケーブルが盗まれる被害が急増している問題で、警察庁の有識者検討会は9日、金属くずの買い受け規制などを盛り込んだ報告書を公表した。取引時の本人確認を業者に義務付けるほか、営業を届け出制とすることなどを求めた。警察庁は法案をまとめ、国会へ提出する方針。
警察庁によると、銅などの価格高騰を背景に、2023年の金属盗認知件数は1万6276件と20年の3倍に上った。被害総額は約132億円で、うち8割を銅線などの金属ケーブルが占めた。
昨年はさらに増えて認知件数が2万件を超える見込み。太陽光発電施設では金属ケーブル盗が1~11月で6742件(暫定値)起きた。
盗まれた銅線が金属くずとして買い受け業者に持ち込まれている現状があるが、金属くずの売買で売り主の本人確認などを義務付ける法令はない。盗品売却を容易にしている実態があり、検討会で「法律による全国的な規制」を求める意見が上がった。
報告書では、金属くずの買い受け業者に対し、顔写真付き身分証を使った本人確認や、取引記録の作成・保管を義務付けるよう求めた。盗品と疑われる場合は、警察への申告義務を課すべきだとした。当面、被害が多い銅を対象にするのが適当とした。
全国で5万~10万と推定される買い受け業者の実態を把握できるよう、新たに届け出制を導入することも提言。悪質業者には営業停止といった行政措置が必要とした。
また、銅線盗に悪用されているケーブルカッターなどの用具についても、車などに隠し持つ行為を処罰対象にすべきだと指摘した。
[時事通信社]
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