PFAS分解の新手法開発=光触媒で、実用化には時間―立命館大
分解されにくいため環境中や体内に蓄積し、健康被害が疑われる有機フッ素化合物「PFAS」の新たな分解方法を、立命館大の研究グループがこのほど開発した。ナノメートル(ナノは10億分の1)サイズの極小半導体結晶を触媒に、紫色発光ダイオード(LED)の光を当てると、数時間で完全に分解できたという。まだ微量の実験段階で、実用化の見通しは立っていないが、将来的にはフッ素化合物のリサイクル実現につながる技術だとしている。
PFASは1万種類以上あるとされ、水や油をはじく特性を持つことから、泡消火剤やフライパンの表面加工など幅広く使われてきた。国内では「PFOS」など代表物質3種類の製造や使用が原則禁止されたが、排出源から土壌や地下水に染み出しているとみられ、各地の井戸水などから検出され問題となっている。
立命館大の小林洋一教授(光機能材料)らの研究グループは、PFOS0.65ミリグラムを含む水溶液に硫化カドミウムのナノ結晶0.8ミリグラムを入れて、紫色LEDの光を照射した。すると、PFOSは8時間以内に有機化合物とフッ化物イオンに分解された。他の種類のPFASでも、高効率で分解できたという。
従来は紫外線を照射したり、高温高圧下で分解したりする方法はあったが、消費するエネルギー量やコスト面で課題があった。今回の手法では、常温常圧下で光を当てるだけで効率良く分解でき、回収したフッ化物イオンの再利用もできるという。
小林教授は「光が当たった部分だけしか反応が進まないので、装置の構成や設計に工夫が必要となる。できるだけ早期に実用化に結び付けたい」と話している。
[時事通信社]
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