欧州、国防費増額へ議論加速=トランプ氏復権で危機感
【ロンドン時事】北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州各国が国防費の増額に向けた議論を加速させている。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、欧州との防衛協力に後ろ向きなトランプ次期米大統領の復権が危機感を高めた。各国は過度な対米依存からの脱却を急ぐが、国防より内政を優先したい国もあり、必ずしも一枚岩ではない。
「彼らは請求書の支払いをしなければならない」。トランプ氏は2024年12月に放映されたテレビインタビューで、NATO加盟国の国防費負担が少ないとまくし立てた。支出が増えなければ、NATOを離脱するかとの問いには「もちろんだ」と言い切った。
トランプ氏の強気な姿勢は「成功体験」に裏打ちされたものだ。1期目在任中にNATO離脱をちらつかせて圧力をかけた結果、欧州の加盟国はこぞって国防費を増額。同氏の1期目が始まった17年に国内総生産(GDP)比2%の支出目標を達成していた加盟国は29カ国中8カ国にすぎなかったが、現在は32カ国中23カ国に拡大した。
22年に始まったウクライナ侵攻の影響も大きい。欧州防衛庁(EDA)によると、23年の欧州連合(EU)加盟国の国防支出は計2790億ユーロ(約45兆円)と前年比で10%増加。24年には3260億ユーロ(約53兆円)に達したとみられている。ロシアの領土的野心を目の当たりにし、各国は防衛力強化の必要性で一致している。
地理的にロシアに近いポーランドはGDPの5%近くを国防費に充てているほか、北欧のスウェーデンやフィンランドも増額に積極的な姿勢を示す。一方、イタリアやスペインといった南欧諸国は安全保障よりも内政や移民問題などを重視しており、国防費引き上げを巡る意欲には温度差がある。
英メディアによると、NATOは国防費目標を30年までにGDP比3%に引き上げることを検討しているとされる。トランプ氏は5%を要求する意向だとの報道もある。
NATOのルッテ事務総長は24年12月のブリュッセルでの講演で「戦時の思考に転換する時だ」と強調。「戦争を防ぐために今支出を増やさなければ、将来さらに大きな代償を支払うことになる」と訴えた。
[時事通信社]
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