2025-01-05 14:45政治

教育無償化で与党に圧力=維新、再起目指し独自色

 日本維新の会は今月召集の通常国会で、与党に対し、2025年度予算案への賛否をてこに看板政策の教育無償化などの実現を迫る方針だ。夏の参院選をにらみ、存在感を示すことで党勢を回復させるのが狙い。ただ、与党に取り込まれたと有権者に判断されるリスクをはらんでおり、バランスに苦心しそうだ。
 「少数与党の国会で単に反対するのではなく、政策の実現を図る」。維新の前原誠司共同代表は4日に三重県伊勢市で開いた年頭記者会見でこう強調。25年度予算案の賛否については「総合的に判断する」と述べ、政府・与党の出方次第でどちらもあり得るとの考えを示した。石破内閣不信任決議案に賛同する可能性もちらつかせた。
 維新は昨年の衆院選で議席を減らし、立て直しが急務。独自色発揮に活路を探る。
 先の臨時国会では自民、公明両党と教育無償化に関する実務者協議開始で合意。これを受け、24年度補正予算に賛成した。
 協議は既に年内にスタート。2月中旬までに一定の結論を出すことを与党と申し合わせている。高校授業料の来年度からの無償化、給食費や大学授業料の無償化などをのませたい意向だ。
 社会保険料の引き下げについても近く独自案をまとめ、実現を求める方針。政調幹部は「国会審議を通じ、今の与党には改革ができないと明らかにしたい」と語る。
 一方で、党内には自民の「補完勢力」とみなされることへの警戒感が根強い。「参院選もあり、どこかで切り替えなければならない」。執行部の一人はこう迷いを見せた。
 そもそも教育無償化協議は、国民民主党が「年収103万円の壁」見直しを与党に受け入れさせ、脚光を浴びたのに触発された面が強い。執行部と距離を置く議員は「出遅れて、埋没すると思ったのだろう」とみる。
 維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は関西の足場固めを優先する「大阪回帰」の姿勢をにじませる。「政権交代」を目標とする前原氏と微妙な温度差がある。若手は「吉村さんと前原さんが同じ方向を向いているうちはいいが…」と将来の分裂を危惧する。
 25年度予算案は2月下旬にも衆院の採決が見込まれ、維新も岐路を迎える。賛成すれば、前原氏自身が強調する「野党の立場」との矛盾を党内外から批判される可能性がある。逆に反対を決めれば、政策面で「得点」を挙げる機会を失う展開もあり得る。「どちらを取ってもいばらの道だ」。ある幹部はこう語る。 
[時事通信社]

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