ウクライナ・中東が試金石=トランプ外交、再始動へ―米
【ワシントン時事】第2次トランプ米政権が1月20日に発足する。第1次政権時とは国際情勢が様変わりする中、ロシアのウクライナ侵攻や緊迫する中東情勢への対処が再始動するトランプ外交の試金石となる。
◇和平交渉働き掛け
「第2次大戦以来、世界が目撃した最悪の殺りくだ。停戦のためにベストを尽くしている」。トランプ次期大統領は2024年12月の記者会見で間もなく4年目に突入するウクライナ侵攻に言及した。ロシアのプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領と直接協議し、停戦を働き掛ける意向も示した。
交渉のキーパーソンは、ウクライナ・ロシア担当特使に起用されるケロッグ退役陸軍中将だ。ケロッグ氏は24年4月に和平案を提起。対ウクライナ軍事支援継続の可否に加え、北大西洋条約機構(NATO)加盟や領土問題解決の先延ばし、対ロ制裁緩和などをロシアへの呼び水に、両国を和平交渉の席に着かせる考えを披露しており、今後仲介案の柱となる可能性がある。
米シンクタンク外交問題評議会のカプチャン上級研究員は、ロシア西部へのウクライナ軍の越境攻撃にもかかわらず、戦況はロシア優位だと分析。国土を疲弊させるよりも「ウクライナは紛争を終結し、交渉で領土を取り戻すべきだ」と強調する。
カプチャン氏は、トランプ氏と良好な関係を構築したいプーチン氏が停戦に応じる可能性はあると指摘する。だが、その後の和平交渉でプーチン氏は強硬な主張を譲らないとみる。プーチン氏が権力の座にとどまる間は、休戦状態が続く朝鮮半島のように「凍結された紛争に終わるかもしれない」と予測する。
◇ガザ停戦の先見据える
トランプ氏が直面するもう一つの危機は、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザの紛争だ。トランプ氏は大統領就任までにハマスが拘束する人質を解放しなければ「代償を払わせる」と警告。イスラエルのネタニヤフ首相とも電話協議を重ね、早期の停戦実現に焦点を定める。
ガザ停戦を急ぐのは、その先に1期目の外交成果であるイスラエルとアラブ諸国との国交正常化の拡大を見据えるためだ。イスラエルと、イスラム教スンニ派の盟主を自任するサウジアラビアとの国交樹立が最大の狙いで、米シンクタンク大西洋評議会のパニコフ上級研究員は「誰もできなかったことを達成した大統領として名をとどめることを望んでいる」と分析する。
ただ、サウジは「パレスチナ国家」樹立支持を正常化の条件に挙げているが、トランプ氏やネタニヤフ氏は後ろ向きな姿勢を崩していない。パニコフ氏は「近い将来(イスラエルとパレスチナの)2国家共存への道筋が開かれることはない」と述べ、正常化拡大は困難だとの見方を示した。
[時事通信社]
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