軟着陸期待、高値圏維持か=トランプ関税懸念も―25年米株展望
【ニューヨーク時事】2025年の米株式相場は、高値圏が維持されるとの期待が市場関係者の間で根強い。経済成長と物価抑制を両立する景気の軟着陸見通しに加え、トランプ次期米大統領が掲げる規制緩和や減税で企業業績が押し上げられるとの見方が支えとなる。一方、トランプ氏が宣言した関税引き上げは輸入品の価格上昇を通じて物価高を再燃させ、利下げペースの鈍化により相場が調整局面入りする恐れもある。
代表的な株価指標のダウ工業株30種平均は24年の1年間で13%上昇した。生成AI(人工知能)ブームが追い風となったほか、バイデン政権で厳しくなった企業のM&A(合併・買収)審査がトランプ次期政権で緩むとの観測から金融株が買われた。ハイテク銘柄中心のナスダック総合指数や投資家が重視するS&P500種株価指数も高値圏で推移した。
米金融大手ゴールドマン・サックスは、25年末のS&P500種を前年末比11%高の6500と予測。企業収益の拡大が一段高につながる一方、トランプ氏の関税政策や米長期金利の上昇をリスク要因に挙げた。
トランプ氏は24年11月、中国製品に10%の追加関税、メキシコ・カナダ製品に25%の関税を課すと表明した。3カ国以外への対応は明らかにしておらず、世界貿易の先行きに不透明感が漂っている。
インフレは過去2年で大幅に緩和し、米連邦準備制度理事会(FRB)高官は「鈍化は続く」と予想。こうした見方も株価を下支えしそうだ。
ただ、高関税政策の発動で物価上昇は再び加速し、FRBが25年いっぱい利下げを停止するとの観測が一部でくすぶる。市場からは「トランプ氏が大統領に就任する1月20日前後に相場はピークを迎え、その後は政策のマイナス面が意識されて軟化する可能性がある」(日系証券関係者)との声も聞かれた。
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