日産に鴻海から提携の打診=ホンダとの協議後押し、HVも焦点
仏大手ルノーとの関係を2023年に見直した日産自動車がホンダとの経営統合に向けてアクセルを踏み込む。関係者によると、台湾の電子機器製造大手、鴻海(ホンハイ)精密工業から今秋、日産に資本提携の打診があり、これを機に調整が加速した。ホンダ・日産の統合協議ではハイブリッド車(HV)分野も焦点となり、日産が有力モデルを欠くHVでの協力が進めば、日産「救済」の色彩が強まりそうだ。
鴻海からの打診には、日産出身で鴻海のEV事業を最高戦略責任者(CSO)として指揮する関潤氏が関わっていたという。関氏は日産トップの座を19年に内田誠社長と争った後に退社していた。日産側では、鴻海の経営関与を避ける意味からもホンダとの統合検討を急ぐ必要があった。
日産は、北米や中国市場での販売低迷を背景に24年9月中間連結決算で営業利益が前年同期比9割減となる経営不振に直面。ホンダ関係者は日産との関係強化について「不安はあるともないとも言えない」と複雑な心境を明かしており、日産が挽回への道筋を早急に示せなければ、統合協議にブレーキがかかりかねない。
米国ではガソリン価格の高騰を受けて燃費性能が高いHVの人気が高まり、有力モデルを提供できていない日産の頭痛の種となっている。内田社長は11月の記者会見で「HV(需要)がここまで急速に上がってくるのは読めていなかった」と対応の遅れを認め、新モデルの独自開発には少なくとも1年以上かかるとの見通しを示した。
これに対し、ホンダは26年以降に予定する次世代HV駆動システムの投入を機に、23年に65万台だったHVの世界販売台数を30年までに倍増させる計画を打ち出している。両社の統合検討は日産「救済」の色彩を帯び、18日の東京株式市場では日産株が前日比23.7%急騰した一方、ホンダ株は3.0%下落し今年の最安値で終了した
ホンダの青山真二副社長は18日、統合の検討について「日産の業績が回復する前提で話をしている」と記者団に強調。日産が先に発表した9000人の人員削減をはじめとするリストラ策の着実な実行を求める構えだ。
[時事通信社]
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