パキスタン系10歳少女虐待死 父親と継母に終身刑 英裁判所
【ロンドンAFP=時事】英ロンドンの中央刑事裁判所は17日、パキスタン系英国人の少女サラ・シャリフちゃん(10)に対し、6歳のころから「恥ずべき」虐待を加えて死に至らしめたとして、父親および継母に終身刑を言い渡した。≪写真はサラ・シャリフちゃんの〈左から〉父親のウルファン・シャリフ被告、継母のベイナシュ・バトゥール被告、叔父ファイサル・マリク被告≫
ウルファン・シャリフ被告(43)とベイナシュ・バトゥール被告(30)は、それぞれ少なくとも40年と33年服役することになる。
公判では、サラちゃんの遺体の至る所にかまれた傷と打撲のあざがあり、骨折や、電気アイロンと熱湯によるやけどの痕もあったことが明らかになった。
判決を下す際、ジョン・キャバナ判事は、サラちゃんは「極度の残虐行為」を受けていたにもかかわらず、両被告は「一切の自責の念」を見せてこなかったと指摘。
サラちゃんが女の子だったことから「無価値」な存在と見なし、「下働きの人間」のように扱ったとし、「一連の暴力がサラちゃんに与えていたストレス、痛み、心の傷は想像を絶する」と、時折声を震わせながら非難した。
サラちゃんは2023年8月、家族が所有する家のベッドの上で遺体の状態で発見された。検視により、できたばかりの傷が71か所、骨折が少なくとも25か所あったことが明らかになった。
サラちゃんの叔父ファイサル・マリク被告(29)も、サラちゃんの死に関与したとして有罪判決を受け、禁錮16年を言い渡された。
サラちゃんが亡くなった翌日、被告3人は他の子ども5人を連れて英国を出国し、パキスタンに逃亡。1か月後に子どもたちをパキスタンに残して英国に戻ってきたところ、航空機の着陸後に機内で逮捕された。
■亡くなる4か月前から自宅学習に
一方、父親のシャリフ被告が2023年4月にサラちゃんを自宅学習させるとして退学させ、その4か月後にサラちゃんが亡くなるまで、虐待行為を自治体の社会福祉部が見逃していたとして英国内では怒りの声が広がっている。
シャリフ被告と最初の妻オルガさんは、社会福祉部にはよく知られた存在だった。
裁判所は2019年、シャリフ被告が虐待を行っていた事実があるにもかかわらず、サラちゃんとその兄の養育を同被告に任せる裁定を下した。
サラちゃんが通っていた学校の教師は、サラちゃんが体の傷を隠すためにヒジャブを着用して通学していたと公判で証言している。
2023年3月ごろ、サラちゃんが顔を負傷していたため、学校が児童福祉部に報告。児童福祉部は調査を行ったものの、何の措置も講じていなかった。【翻訳編集AFPBBNews】
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