2024-12-17 15:45スポーツ

貴景勝「けじめ」の10日間=重圧解け指導に本腰―大相撲

表彰式で、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)から賜杯を受け取った貴景勝=2023年9月24日、東京・両国国技館
表彰式で、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)から賜杯を受け取った貴景勝=2023年9月24日、東京・両国国技館

 平成以降に昇進した大関では、最も若い28歳1カ月での現役引退。早過ぎるようにも映った引き際に悔いはなかった。大相撲の元大関貴景勝は、9月の秋場所14日目に開かれた記者会見で涙は見せず、「素晴らしい相撲人生を歩ませてもらった」。かみしめるような言葉に実感がこもった。
 1場所での大関復帰を懸けた秋場所2日目に埼玉栄高の後輩、王鵬に敗れて引退を覚悟し、11日目の夜に決断。湊川親方として迎えた11月の九州場所中に、その間の心境を明かした。
 引退の考えが「覆ることはない」と分かってはいたが、「物心ついた頃から相撲を取っていたので、10日間くらい振り返りたかった。けじめをつけるつもりだった」。冷静に己を見詰め直した。たどり着いたのは「改めて悔いはない」との答えだった。
 引退後、減量してスリムになった姿も話題に。「特別なダイエットはしていない」と笑う。体格には恵まれてはいなかった現役時代は常に体づくりを意識。食事の際は「牛肉何グラム、鶏肉何グラムと計算しながら食べていた」と言う。それが今は、「食事がおいしい。好きな物を好きなだけ食べられるし、居酒屋にだって行く」。現役終盤には、少なくなっていた自然な笑顔を見せる。
 本場所では警備を担当する一方、常盤山部屋の弟弟子の取組があれば花道で見守り、すぐに助言する。「直後にやるのがいい。一晩寝れば、忘れてしまうものだから」と、指導者として本腰を入れている。現役当時に比べ、「刺激が足りない」とこぼすのも強い重圧から解放された安堵(あんど)の裏返し。第二の相撲人生を歩む充実感にあふれている。 
[時事通信社]

打ち出し後、土俵周りで警備する湊川親方=11月19日、福岡国際センター
打ち出し後、土俵周りで警備する湊川親方=11月19日、福岡国際センター

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