「どんな人でも生き直せる」=犠牲院長の妹、更生活動に従事―大阪ビル放火、17日で3年
大阪市北区の心療内科クリニックで26人が犠牲となった放火殺人事件は、17日で発生から3年を迎えた。亡くなった院長西沢弘太郎さん=当時(49)=の妹伸子さん(47)は、今年から薬物依存症に悩む人や受刑者の社会復帰を支援する一般財団法人「ワンネス財団」で利用者と対話する活動を始めた。「どんな人でも生き直すことができる。その手助けをしていきたい」との思いから、更生活動に力を注ぐ。
きっかけは昨年9月、京都アニメーション放火殺人事件の裁判を傍聴した際、ある記者から受けた質問だった。ガソリンを使った手口がビル放火事件と共通していたため「何をしたら防げたと思うか」と尋ねられた。
事件で死亡した谷本盛雄容疑者=当時(61)=と京アニ事件の青葉真司被告(46)がいずれも過去に事件を起こして逮捕されていたことから、伸子さんは「大事なのは再犯を防ぐこと。免許や資格もない自分にも話を聞くことはできる」と感じたという。
今年2月から本格的に活動を始めた。月2回、1日2人と対話し、時には1人当たり1時間以上に及ぶこともあるという。元暴力団幹部で薬物依存症に悩む男性とはこれまで5回ほど対話を重ね、「今ではワンネス財団のスタッフ見習いにまでなった」とほほ笑む。「大事なことは犯罪に手を染めた原因を本人自身が見つけ出すこと。そこが更生の本当のスタート」と話す。
刑務所で受刑者と対話する新たな活動の準備も進めており、年明けには刑務官向けの講演などを予定している。「どんな人でも変わりたいという意志があれば人生を生き直すことができる」と信じ、活動を続けていく。
[時事通信社]
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