専門家「原点に立ち返る授賞」=核使用への危機感、50年前の是正の意味も―ノーベル平和賞
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞について、「ノーベル賞の国際政治学」などの論文を多数発表している高崎経済大の吉武信彦教授(国際関係論)は「まさに核兵器問題の原点に立ち返る意味を有している」と語る。
日本被団協への授賞が発表される前、平和賞はロシアのウクライナ侵攻や対立が続く中東情勢に鑑み、国際司法裁判所(ICJ)や反戦活動家などに授与されるのでは、との観測が流れた。
吉武教授は「現在進行形の問題に直接的に関係した授賞は、その後の展開によって評価が揺れるため回避した可能性がある」と指摘。その上で、「ノルウェー・ノーベル賞委員会は『ウクライナや中東で核兵器が使用される可能性がある』との強い危機感を抱いたのだろう」と分析した。
さらに、今年が1974年の佐藤栄作元首相の同賞受賞から50年の節目だったことにも着目。「ノーベル賞委は元首相の非核政策推進を重視したが、後に元首相が必ずしも非核政策に積極的ではなかったことが判明した」と解説し、「日本被団協への授賞には、50年前の見落としを是正する意味もあるのかもしれない」と推測した。
[時事通信社]
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