アサド政権崩壊に期待と不安=過激派伸長を強く警戒―イスラエル
【イスタンブール時事】イスラエルのネタニヤフ政権は、シリアのアサド政権崩壊を期待と不安を持って注視している。イスラエルがレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの弱体化に成功し、後ろ盾のイランにも打撃を与えたことが、同じくイランの支援を受けるアサド政権の崩壊をもたらしたとみられる。イスラエルは一方で、シリアでイスラム過激派の伸長を許せば、自国の安全保障にも悪影響が及ぶと警戒している。
ロイター通信によると、ネタニヤフ首相は8日、アサド政権の終えんを受け、「歴史的な日だ。イスラエルに極めて重要なチャンスをもたらした」と総括。地域での共存に向け、イスラム教徒などにも「平和の手を差し伸べる」と語った。
その一方、アサド政権崩壊による「リスクが皆無だというわけではない」とも指摘。「情勢を注視し、国境の維持など、わが国の安全保障のため必要な行動を取る」と強調した。
ネタニヤフ氏は、シリア反体制派によるイスラエル攻撃を警戒し、軍にシリアとの緩衝地帯への展開を指示。イスラエル軍もシリアの内政には関与しないとしつつ、緩衝地帯の保全に必要であれば行動するとの立場を示した。
イスラエルは8日、シリアの首都ダマスカスにある施設を3度にわたり空爆。イスラエルはイランが同施設をミサイル開発に用いていたと主張している。米紙ニューヨーク・タイムズは同日、イスラエル軍の地上部隊が最近、1973年以来初めてシリア領内に侵入したと報じた。
イスラエルは、アサド政権を打倒した勢力にイスラム過激派が含まれていることを特に懸念している。同国当局者はシリアに数十年にわたり保管されている化学兵器などが過激派の手に渡ることに、強い警戒感を示した。
[時事通信社]
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