日米、韓国との結束維持に全力=対北朝鮮、抑止力低下を懸念
日米両国は、混乱が続く韓国の政治状況を踏まえ、3カ国の結束維持に全力を挙げる方針だ。3カ国連携が揺らげば北朝鮮に対する抑止力が弱まりかねないためだ。ただ、韓国政局は混迷を深めており、先行きは見通せない。
日米韓は9日、東京都内で北朝鮮問題に関する高官協議を開催した。北朝鮮とロシアの「包括的戦略パートナーシップ条約」発効などを巡り意見交換。「さまざまな情勢が複雑化する中にあっても、日米韓が緊密な連携を確保し続けていることの重要性」を再確認した。
林芳正官房長官は9日の記者会見で「日米韓の戦略的連携はかつてなく重要だ」と表明。中谷元防衛相は、来日するオースティン米国防長官と10日に会談し、日米韓による防衛協力継続で一致する見通しだ。
日米韓の枠組みは、北朝鮮への対処が主眼だ。覇権主義的動きを強める中国に対する抑止も見据える。対日・対米関係を重視する尹錫悦政権の発足後、日韓関係の改善を契機に3カ国の防衛協力が進んだ。
昨年8月に米ワシントン近郊のキャンプデービッド山荘で日米韓首脳会談を行い、安全保障面の協力強化で一致。同12月には北朝鮮の弾道ミサイル発射情報のリアルタイム共有を開始し、警戒監視の体制を強めている。
しかし、「非常戒厳」宣言を受け、尹大統領は出国禁止となり、内乱容疑などで捜査を受ける。韓国与党「国民の力」は「(尹氏は)外交を含む国政に関与しない」と表明し、政権はレームダック(死に体)に陥った。
日本政府関係者は「日米韓の安保協力は不変だ」と強調した。だが、日韓改善を主導した尹政権が機能不全となり、自民党内からは「今後の安保協力に影響する」との声が上がる。
石破茂首相は来年1月上旬で調整していた訪韓を延期する。外務省筋は「政治レベルの連携は難しくなる」と指摘した。
[時事通信社]
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