10月実質賃金、横ばい=マイナス圏脱却も力強さ欠く
厚生労働省が6日発表した10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月から横ばいだった。3カ月ぶりにマイナス圏を脱したが、物価の伸びを上回る力強さはみられない。
基本給と残業代などを合わせた名目賃金は、労働者1人当たり平均2.6%増と、34カ月連続のプラス。2024年春闘の高い賃上げ率や、10月以降の最低賃金引き上げが反映された。
ただ、春闘による賃上げ効果は既に浸透し、給与がさらに引き上がる材料は乏しい。第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは、冬のボーナスが支給される12月を除き、今後も「名目賃金の伸びは3%前後で推移する」と見込む。
一方、実質賃金の算出に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の10月の伸びは2.6%に鈍化。ただ、11、12月は政府による電気・ガス代の補助金縮小・停止の影響で上昇に転じる可能性が高い。
このため、新家氏は今後も実質賃金の伸びは「0%付近で推移する」と予想。賃金が下げ止まった程度では、個人消費の押し上げ効果に「大きな期待はできない」としている。
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