トランプ氏、ドルの地位低下に焦り=新興国に「中ロか米か」迫る
【ワシントン時事】トランプ次期米大統領が、中国やロシアを含む新興国グループ「BRICS」に対し、100%の高関税をちらつかせて「ドル離れ」をけん制した。背景には、ドルの基軸通貨としての地位低下への焦りがある。国際秩序の主導権を巡り、中ロが米国への対抗姿勢を強める中で、トランプ氏は新興国に中ロか米国かの選択を迫った格好だ。
「ドル中心の体制は米国の活力と強さに極めて重要だ。失えばロシアや中国は喜んで引き継ぐだろう」。トランプ氏はかつて米メディアとのインタビューでこう強調し、ドルの覇権を堅持する重要性を説いた。
BRICSには中ロのほか、ブラジルやインド、南アフリカなどが参加。昨年にはエジプトやイランも加わり、「非欧米」の枠組みとして存在感を示している。ロシアが議長国を務めた今年10月の首脳会議では、成果文書に「BRICS内での国際決済ネットワーク強化と自国通貨建て決済を奨励する」と明記した。
国際通貨基金(IMF)によると、各国の外貨準備に占めるドルの割合は、2000年代初めの7割超から24年半ばには6割弱に縮小。中国人民元は直近では2%強とわずかだが、増える傾向にあり、IMFは「各国で少しずつドル離れが進んでいる」と指摘する。
中国は「人民元の国際化」を掲げ、国際決済での人民元取引を推し進める考え。習近平国家主席は11月に南米で開かれた一連の国際会議で精力的に各国首脳と会談した。中国の政策金融機関がブラジル政府系金融機関に人民元建て融資を決めるなど、中国は新興国の取り込みを急ぐ。こうした動きは「強い米国」を揺るがしかねず、トランプ氏は警戒感を強めているようだ。
[時事通信社]
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