「全方位外交」に変化の兆し=プラボウォ政権、ロシア接近か―インドネシア
【ジャカルタ時事】インドネシアのプラボウォ政権が、ロシアへの接近とも受け取れる動きを示している。ロシアや中国などで構成する新興国グループ「BRICS」正式参加の意向を表明したのに続き、ロシアとの軍事演習も初めて実施。政権発足から1カ月余りで、インドネシアの基本方針だった全方位外交に変化の兆しが表れつつある。
10月20日に就任したプラボウォ大統領は、ロシア中部カザンで開催されたBRICS首脳会議に任命したばかりのスギオノ外相を派遣。同外相は同24日、BRICSに正式参加する意向を表明した。ジョコ前政権は中国との経済的なつながりを重視しつつも、欧米中心の経済協力開発機構(OECD)への加盟手続きを優先。BRICSとは距離を保ってきた。
ハルタルト経済担当調整相は「(外交方針を)変更するものではない。(OECDとBRICSの)両方に加盟できるよう、今後も尽力していく」と強調した。しかし、外交関係者は「BRICSに近づけば、OECDの加盟審査がより慎重になることは明らかだ。見通しが甘いのでは」と指摘する。
プラボウォ氏自身は就任後初外遊で、ブラジルで11月に開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を含む国際会議出席に合わせて中国や米国などを歴訪。その際の対応にも同氏の外交的な甘さが出たとの見方がある。
歴訪最初の訪問先となった中国で、プラボウォ氏は習近平国家主席と会談。発表された共同声明には「両国の領有権主張が重なる南シナ海の海域で開発を推進」「新疆ウイグル、チベット両自治区は中国の一部」など、中国側の意に沿った文言が並んだ。以前より踏み込んだ表現には、国内メディアなどから批判が出ている。
続く米国訪問の際には、トランプ次期大統領と電話で会談。SNSで公開された動画には「イエス・サー」「サンキュー・サー」などと、必要以上にへりくだるプラボウォ氏の姿が映っていた。日本政府関係者は「チェック機能が働いていないだけでなく、プラボウォ氏に助言できるスタッフもいないのでは」と話している。
[時事通信社]
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