ミャンマー武装勢力へ圧力強化=利害絡む中国、国軍劣勢に危機感
【北京時事】ミャンマーの紛争を巡り、中国の習近平政権が少数民族武装勢力に対する圧力を強めている。国境付近の要衝を武装勢力が相次いで掌握し、国軍の劣勢が伝えられる中、貿易・投資面でミャンマーと広範な利害関係を持つ中国の経済的損失は拡大。武装勢力はレアアース(希土類)の産出地を占拠しており、中国は長期的にミャンマーから資源の輸入が途絶える事態に危機感を強めている。
ミャンマー北東部で国軍と武装勢力の衝突が激化した昨年10月以降、中国は「仲介役」を自任。国軍との対話を重ねる一方、越境犯罪の取り締まりの必要性などから武装勢力との協力も維持し、和平協議を主催してきた。しかし、最近では国軍寄りの態度を鮮明にしている。
「中国とミャンマーは兄弟のように深い友情を有している。両国の運命共同体を構築していこう」。11月上旬、雲南省昆明でミャンマー国軍トップのミンアウンフライン総司令官と会談した李強首相は軍政を支持する方針を明確にした。
2021年のクーデターで実権を握った軍政を国際社会は承認しておらず、中国も総司令官を国内に招くことは避けてきた。今回の訪中は大きな転機と捉えられている。
一方、中国は今年夏ごろから対ミャンマー国境の貿易ルートを次々と閉鎖。周辺地域を拠点とする武装勢力への食料や生活物資の流入を止める狙いだった。中国当局が武装勢力に対して、戦闘を停止しなければ「相応の結果を伴う」と警告する書簡を送ったとも報じられている。
米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)などによると、中国は10月以降、ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)の指導者を雲南省で拘束。中国は「病気療養のための滞在だ」(外務省報道官)と説明するが、MNDAAに停戦を迫っているとの観測が強い。
ミャンマーでは、中国と軍政が「共同警備会社」を近く設立するとの計画も伝わる。習政権と国軍が連携を進める動きだが、米欧の専門家からは中国による「代理軍隊」派遣につながるとの指摘も出ている。計画が具体化すれば、情勢のさらなる複雑化を招いたり、インドをはじめとする周辺国が警戒を高めたりする可能性もある。
[時事通信社]
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