陸海空に異変、ロシア関与か=「ハイブリッド戦争」警戒―欧州
【ベルリン時事】欧州の陸海空の各領域で、異様な事件や事故が相次いで報告され、ロシアに疑いの目が向けられている。証拠がないケースがほとんどだが、プーチン政権が仕掛ける軍事的威圧と非軍事的な工作を組み合わせた「ハイブリッド戦争」の一環との見方がもっぱらだ。欧州当局者らは「社会をかき乱して恐怖を植え付け、ウクライナ支援を後退させようとしている」(ドイツ連邦情報局トップ)と警告している。
バルト海で今月17~18日にかけて、スウェーデンとリトアニア、フィンランドとドイツをそれぞれつなぐ海底通信ケーブルが相次いで断線した。ロシアから出港した中国船が、いかりを下ろして航行し、意図的に損傷させたとみられている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「ロシア情報機関に仕向けられたかどうか」が捜査の焦点になっていると、当局者らの話として報じた。
ロシアにつながる物証は見つかっていないが、予兆はあった。北欧4カ国の公共放送は昨年4月、過去10年間に周辺海域で約50隻の不審なロシア船が、海底ケーブルや洋上風力発電施設などの情報を秘密裏に収集していたと調査報道で明らかにした。同10月には、別の中国船がフィンランドとエストニアをつなぐ海底ガスパイプラインを損傷させた疑いがあり、調査が続いている。
その上空でも異常が起きている。フィンランド航空は今年4月、全地球測位システム(GPS)に障害が起きたとして、エストニア便を一時停止した。エストニアの外相は「妨害の発信源はロシアだ」と断言した。
7月には独東部ライプチヒで貨物機に積み込まれる直前の荷物が発火したほか、英国やポーランドでも貨物の不審火が相次いだ。ポーランドは10月下旬、国内で発生した放火計画事件の捜査で、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の関与が裏付けられたとして、西部ポズナンのロシア総領事館を閉鎖した。
英国の対外情報機関、秘密情報部(MI6)のムーア長官は今月29日、「ロシアが欧州で、驚くほど見境なく妨害活動を行っていることが分かってきた」と指摘した。ロシアはいずれの疑いについても関与を否定している。
[時事通信社]
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