マイナ保険証の対応義務化「適法」=医師ら1415人の訴え棄却―東京地裁
マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」が利用できる体制の整備などを医療機関に義務付けたのは違法として、医師ら1415人が国に義務の無効確認と1人当たり10万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。岡田幸人裁判長は「違法とは言えない」として、医師らの請求を棄却した。
判決によると、保険医療機関が患者を診察する際、従来は健康保険証かマイナ保険証のいずれかで被保険者であることを確認していた。
国は2022年に厚生労働省令を改正し、患者がマイナ保険証による資格確認を求めた場合は応じなければならないと明記。確認に必要な体制整備も行うよう医療機関に義務付けた。改正省令は23年4月に施行された。
岡田裁判長は、健康保険法は保険医療機関が順守すべき事項について省令で義務付けることを認めていると判断。資格確認の義務付けを明確に認めていないとする原告側の主張を退けた。
順守すべき事項の検討は、厚労相の専門技術的な裁量に委ねられているとも指摘。国民の生活の安定と福祉の向上に寄与するという同法の目的にも反していないとして違法性を否定した。
原告側は医療機関の負担増加による廃業が増える危険性を訴えたが、岡田裁判長は体制整備に経済的負担が生じるとしても、直ちに事業継続を困難にするとは言えないと述べた。
[時事通信社]
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