関係改善へ懸案解決=習政権、対米にらむ―日本人短期ビザ免除
【北京時事】中国が日本人向けの短期ビザ免除の再開を決めた。習近平政権としては、日本産水産物の輸入再開の合意に続き、日中間の懸案解決を一歩進めた形だ。背景には日本との関係を安定させ、予想される米中関係の悪化に備える狙いがありそうだ。
「やっと再開が決まったが、遅過ぎるぐらいだ」。北京の日中関係筋は、そう話す。日本側はコロナ禍後、一貫して短期ビザ免除の再開を要求。だが、中国側は難色を示し先送りにしてきた。それが一転して応じた背景には、来年1月のトランプ米政権の発足がある。
トランプ次期大統領は中国製品への関税引き上げを公言しており、対中圧力を強めることが予想されている。習政権としては、米国以外の国々との関係を安定させ、景気低迷が続く中、経済への打撃を最小限にとどめたい考え。日中関係の改善もそうした戦略の一環と位置付けて、懸案の解決を急いだもようだ。
短期ビザの免除には日本からの投資を呼び込む思惑もあるが、狙い通りとなるかは見通せない。
在中国の日系企業などでつくる中国日本商会は、ビザ免除の決定を受け「人的往来の活発化につながることを強く期待する」と歓迎のコメントを発表した。ただ、「中国にはできれば行きたくない」(中堅メーカー社員)という声は多い。
中国では、反スパイ法違反などで邦人が拘束されるケースが相次いでいる。また、今年に入り江蘇省蘇州と広東省深センで日本人が被害に遭う事件が起きたほか、無差別殺傷事件も多発。治安悪化への懸念も高まっており、日本政府関係者は「中国に渡航する日本人は爆発的に増えないのではないか」と話している。
[時事通信社]
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