トランプ関税、日本車標的に=「経済に大きなリスク」―ムーディーズ
【ニューヨーク時事】調査会社ムーディーズ・アナリティックスのシニアエコノミスト、シュテファン・アングリック氏が21日までにインタビューに応じた。トランプ次期米大統領が主張する関税引き上げに関し、日本から米国に輸出される自動車が標的になる恐れがあると予想。「日本経済にとって極めて大きなリスクだ」と警告した。
トランプ氏は選挙戦で、あらゆる輸入品に一律10~20%の関税を課すと明言した。米国の貿易赤字を問題視しており、日本からの自動車・同部品の対米輸出をやり玉に挙げる可能性がある。
ただアングリック氏は、関税導入は「米国の高インフレにつながるので望ましくなく、実現性は低い」と語った。同盟国の日本は世界最大の対米投資国でもあり、「日本の自動車各社が投資拡大や生産拠点の移転を約束すれば、関税が引き上げられたとしても小幅にとどまるだろう」と予想した。
一方で、中国に対しては強硬姿勢を取ることが新政権人事から想定され、米中が報復関税をかけ合う貿易戦争が再発する事態を憂慮。「サプライチェーン(供給網)が混乱し、世界経済成長が押し下げられる。誰も勝者にならない」として、日本経済への打撃は避けられないと分析した。
また、関税を通じた輸入品価格の上昇により、米国でインフレが再燃すれば、連邦準備制度理事会(FRB)は高金利の維持を迫られる。日米金利差を意識した円安・ドル高が進めば、「日銀は利上げペースを加速しなければならないだろう」と話した。
[時事通信社]
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